在日中国人向けの中国語週刊紙である「東方時報(※)」の1面に、菅直人首相の春節祝賀メッセージが掲載された。同紙の読者は首都圏在住の華人、中国語で書かれた「菅直人首相向華人祝賀春節」の真っ赤な見出しは、上野駅の売店でも人目を引く。(※発行:(株)東方インターナショナル、東京都)

「華人の皆様が、中国の伝統的な新年である春節を迎えられたことをお慶び申し上げます」の一文から始まる春節祝賀メッセージは、日本の華人、在日中国人に呼びかけるもの。過去、日本の首相が日本の華人に新年のメッセージを送ったのは、08年2月、「戦略的互恵関係」の推進について日中共同声明を出した福田康夫首相の代にまでさかのぼる。

福田・麻生・鳩山首相の
春節“祝辞外交”

 08年は北京五輪が開催され、また金融危機で疲弊する世界経済において中国がそのプレゼンスを高めた年でもあった。その中国に世界の注目が集まり、アメリカ、イギリスの首脳もまた自国や全世界の華人に春節の祝辞を送っている。

 福田首相は日中国交正常化35周年を迎えた07年に北京を訪問、胡錦濤国家主席や呉邦国委員長(中共中央政治局常務委員)、温家宝首相など、中国の指導者と会談を実現している。

 日中平和友好条約締結30周年にあたる08年の春節祝賀メッセージは、「今年は中国国家主席による10年ぶりの訪日や北京オリンピックなど、日中関係にとって記念すべき重要な行事が多い。胡錦濤国家主席の訪日と北京オリンピック大会の成功を心から願っている」というものだった。

 一方、麻生太郎首相も、胡錦濤国家主席と共に日中平和友好条約締結30周年記念行事に参加し、「私の訪中を含め、昨年1年間で両国の首脳が5回も相互訪問を行うという画期的な年だった」と伝えた。