日銀は10月14日に新たな流動性対策を発表した。また、8日にFRBやECB(欧州中央銀行)など6ヵ国の中央銀行が協調利下げを実施した際、日銀はそれに加わらず、“歓迎声明”を出した。

 その声明文および今回の流動性対策から判断すると、日銀は当面は政策金利の引き下げを想定していないことがわかる。資金供給オペの拡充などの流動性対策で市場の混乱に対処しようとしている。

 日銀が利下げを選択していない理由としては、(1)政策金利は0.5%とすでに非常に低い、(2)欧米に比べれば日本の金融市場の混乱は深くない(海外からの悪影響が表れてきたが)、(3)今回の市場の危機は日本が震源地ではない、(4)おそらく海外中央銀行から日銀に対して利下げ要求は出ていない、といった点が考えられる。

 14日に発表された日銀の流動性対策の中には、ドル資金供給オペを適格担保の範囲で無制限に行なうというものがあった。今後は、固定レートで、金融機関が欲する額を(担保の範囲で)いくらでも供給する方式になる。

 ECB、イングランド銀行、スイス国民銀行が13日に決定したドル供給オペの新方式に足並みを揃えることになる。ヨーロッパの金融機関が保有するドル建て資産の額は日本勢よりも大きい。それゆえ彼らがドル短期金融市場から調達しなければならないドル資金の量も多い。