明日を支配するもの
ダイヤモンド社刊 2200円(税別)

「誰もが自らの強みについてはよくわかっていると思う。たいていは間違っている。わかっているのはせいぜい弱みである」(『明日を支配するもの』)

 職業を選べる時代になったということは、ところを得るために自らの強みを知ることが不可欠になったということだ。ドラッカーは自らの強みを知る方法はあるという。それは、フィードバック分析だ。

 何かすることを決めたら、何を期待するかを書き留める。9ヵ月後、1年後にその期待と結果を照合する。ドラッカー自身がこれを50年間続けていたという。

 いかなる仕事の仕方を得意とするかも重要だという。ところが、多くの人たちが仕事にはいろいろな仕方があることを知らない。そのため得意でない仕方で仕事をしている。当然成果はあがらないという結果に陥る。 

 生まれつきか育ちかはわからないが、仕事上の個性は仕事に就くはるか以前に形成される。修正はできても変更はできない。 そして、ちょうど強みを発揮できる仕事で成果をあげるように、人は得意な仕方で仕事の成果をあげる。

 「最高のキャリアは、あらかじめ計画して手にできるものではない。 みずからの強み、仕事の仕方、価値観を知り、機会をつかむよう用意をした者だけが手にする。なぜならば、自らの得るべきところを知ることによって、普通の人、単に有能なだけの働き者が、卓越した仕事を行うようになるからである」(『明日を支配するもの』)