“アンチ巨人”は
巨人の事をよく知っている

 プロ野球の読売ジャイアンツについては、ライバルチームのファンも同じようにチームの事情に詳しいのではないでしょうか。ライバルからすれば、カネに飽かしてスターを集めた全国的人気球団です。しかも憎たらしいくらい強いとなれば、負けた時の悔しさも人一倍です。その悔しさやザマーミロという気持ちが裏側にあるから、ちょっとした話題や選手の特徴もよく覚えているものです。

 ライバルの方がよく知っている。これは企業でも同じことがいえます。

 自分の会社のことは意外に客観視できないものです。あなたも自分の大学、あるいは自分自身のことを第三者から評価されて「そんなものか」と気づきを与えられた経験があるはずです。

 企業で働く人も、自分に関係ない部署になると興味がない情報がない、もしくはさまざま感情が交じって冷静な分析が出来ていないことはあります。第一、就活生など外部の人間が気安く尋ねたところで、自分の会社の不利益になることは簡単にはしゃべりません。

 ところが毎日のように競争の現場で顔を見るにっくきライバル、特に自社にとって手強い、市場で上位に位置づけられている企業については、実に丹念にウォッチをしています。

 製品やサービスの弱点や、その企業が隠しておきたい過去の不祥事、業界のうわさ話など、ライバルが力を持っているほど詳しいものですし、なにより相手の不利益になりそうなことほどしゃべりたくなるものです。「他人の不幸は蜜の味」ってことです。

 ある企業のことを知りたければ、そのライバルに聞きに行く。これはオーソドックスな取材の方法でもあります。企業研究でも使わない手はありません。