経営 X 人事
中原淳のグローバル人材育成を科学する
【第1回】 2016年12月20日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授]

日本企業にありがちな“グローバル風”研修3つの落とし穴

【日本企業の“グローバル風”研修1】
ワンショットの語学研修

 主に英語だと思いますが、ちょろっと語学研修を行うことで「グローバル人材育成」としているパターンです。

 もちろん、語学が大事ではない、というわけではありません。語学力はもちろん必要ですし、できるに越したことはありませんが、それだけで海外で活躍できる人材になれるのかというと少し疑問です。

 かつて私は、海外赴任したビジネスパーソンを対象にした調査(中原淳2012「経営学習論」)で「海外赴任後、困難だったこと」について聞いています。

 すると、語学に対して「困難あり」と答える人は大体38%ぐらい、「困難はあまりない」という人が62%でした。しかも、「困難あり」と答えた人の中の80%以上が、後々その困難を乗り越えた、と回答しています。

 どんなに勉強しても、外国人が話すようにペラペラにはなれません。ですがまあ、仕事は何とかできるようになるということなのです。こうしたことがあって、語学力は大切ですが、それだけでいいのか、というところには疑問が残ります。

 また、そもそも語学力がワンショットの研修で急に向上するのか、というところも疑問です。私自身は専門家ではないので、あくまでも私見ですが、第二言語を学ぶというのは、本気で日常生活の中にそうした機会を取り入れ、習慣化していかないと難しいのではないでしょうか。

 いずれにしても、ワンショットの英語研修で、海外で活用できるグローバル人材になるというのはちょっと難しい気がします。本気でやるなら、もっと他にもやることがありそうですよね。

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 


中原淳のグローバル人材育成を科学する

国内市場は縮小し、内需拡大の限界に直面しつつある今、成長が期待されるグローバル市場に乗り出していく人材の育成は、多くの日本企業にとって、今もこの先もますます重要な課題となっていく。にもかかわらず、日本企業の「グローバル人材育成」はどうも問題があるようだ。そもそもグローバル人材育成とは何か? どのように実現するものなのか? 形だけでなく、真の意味で企業の成長につながる「グローバル人材育成」のあり方を見直し、考えていく。

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