経営 X 人事
中原淳のグローバル人材育成を科学する
【第1回】 2016年12月20日
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中原 淳 [東京大学大学総合教育研究センター准教授]

日本企業にありがちな“グローバル風”研修3つの落とし穴

【日本企業の“グローバル風”研修2】
外国ポットンモデル

 「語学だけできてもダメ。グローバル人材育成というんだから、まずは外国の文化を知ることが重要。グローバルな場所に出かけて、本物のグローバルな文化に触れないと」ということで、「本物の文化に触れる体験をすること=グローバル人材育成」とする考え方もあります。

 こうした考え方をもとに生まれるのが、「外国ポットンモデル研修」いわゆる「GPM研修」(中原命名)です。

 例えば、インドに行って「スラム街に行ってきました」といったもの。実際は安全のため自動車の車内から視察するだけだったりします。「ガンジス河で沐浴してきました」など、体当たりで異文化を体験するものもあります。素晴らしい体験だと思いますが、グローバルに活躍するための人材育成にどの程度寄与しているのかなんとも言えません。

 「インドの大学に行ってきました」といったものもあります。インドの大学で優秀な技術者を引き抜いてきて採用しました、ということならば素晴らしいですが、せっかく大学に行くのであれば、短期ではなく、ある程度時間をかけ、きちんと目的をもって学んできてほしいものです。

 もちろん、異文化を体験することは重要です。やはり現地に行って直接見聞きしなくてはわからないことも多々あります。しかし、単に異文化に浸りさえすればグローバルで活躍する能力が身につくのか、というと、はなはだ疑問です。異文化体験をすることが目的であれば、個人的に旅行で行けば良いのでは…?とも思いますし、異文化に浸ることでなにかの能力を伸ばすというのであれば、もう少し工夫が必要な気がします。

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中原 淳[東京大学大学総合教育研究センター准教授]

東京大学 大学総合教育研究センター准教授。著書に『職場学習論』『経営学習論』『活躍する組織人の探究』『研修開発入門』『駆け出しマネジャーの成長論』など多数。企業における人材開発の実証的研究をすすめるかたわら、さまざまな研修・ワークショップなどを開発・評価。近年では、新任マネジャー向けワークショップ「マネジメントディスカバリー」、人材開発担当者向けワークショップ「研修開発ラボ」などを開発。Blog: http://www.nakahara-lab.net/blog/、Twitter ID: nakaharajun

 

 


中原淳のグローバル人材育成を科学する

国内市場は縮小し、内需拡大の限界に直面しつつある今、成長が期待されるグローバル市場に乗り出していく人材の育成は、多くの日本企業にとって、今もこの先もますます重要な課題となっていく。にもかかわらず、日本企業の「グローバル人材育成」はどうも問題があるようだ。そもそもグローバル人材育成とは何か? どのように実現するものなのか? 形だけでなく、真の意味で企業の成長につながる「グローバル人材育成」のあり方を見直し、考えていく。

「中原淳のグローバル人材育成を科学する」

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