現在はどうか。

<東京・目黒の遺体遺棄:強盗殺人容疑で再逮捕(2016年8月3日 毎日新聞)
 東京都目黒区立碑文谷(ひもんや)公園の池で世田谷区野沢3、無職、阿部祝子(ときこ)さん(88)の切断された遺体が見つかった事件で、警視庁碑文谷署捜査本部は2日、近くの無職、池田徳信(やすのぶ)被告(28)=死体遺棄罪で起訴=を強盗殺人と住居侵入容疑で再逮捕した。>

 違う点はもうひとつあるコトに気づく。住所だ。住所は89年当時も新聞によって扱いに微妙な差がみられていたが、記事を丹念に読めば犯人の家までたどり着くことができた。つまり、犯罪容疑者や事件事故当事者のプライバシーが、いとも簡単に新聞紙上に載っていた時代だったのだ。

近藤真彦の住所が
新聞に堂々と載った!

 89年7月にはこんな報道もあったが、なんと芸能人の自宅がしっかりバレてしまっている。

<歌手の中森明菜さんが自殺図る 近藤真彦さん宅で 生命には別条なし(1989年7月12日 東京読売新聞)
 十一日午後四時四十九分ごろ、東京都港区六本木五の一一の三八、ハイネス麻布鳥居坂○号室から、男の声で「けが人が出た」と東京消防庁に一一九番通報があった。麻布消防署の救急隊が駆けつけたところ、室内で歌手の中森明菜さん(23)(本名同じ)が左腕のヒジの内側を刃物で切って出血しており、応急処置後、同区西新橋の慈恵医大病院へ運んだ。一か月以内のけがとみられ、生命には別条ないという。>(当時の記事では部屋番号まで表記)

 詳細な住所の公開は、個人情報保護の流れの中でいつの間にか消えていった。一方、現代ではたびたび大事件の被疑者の自宅住所や家族状況などが、一般市民の手によって突き止められてネットの匿名掲示板で暴露され、人権問題となっている。

 ちなみにその後、「容疑者」として報じられるようになった犯人は、刑が確定してからは「受刑者」「服役囚」「死刑囚」と、繋がるように呼称がつくようになった。また、死刑が執行された後は「元死刑囚」。呼び捨てでも「故」でもない。

<相模原19人刺殺 池田小事件など多数の犠牲者(2016年7月26日 産経新聞 夕刊 )
 多くの命が奪われる「大量殺人事件」は、過去にも全国で繰り返し起きている(中略)
 平成13年6月、宅間守元死刑囚=16年9月執行、当時(40)=が、大阪府池田市の大教大付属池田小に包丁を持って侵入。児童8人を刺殺し、児童13人と教師2人に重軽傷を負わせ、全国を震撼(しんかん)させた。>

 ちなみに、アイドルの場合は「メンバー」(笑)を使った例もある。報道機関も苦心して呼称を付けていることが窺われる。