仕事の関係で東京の上野をよく通る。最近、上野に行くと、どことなくわくわくした街の雰囲気が感じられる。そう、パンダ景気が巻き起こったのだ。動物園やアメ横一帯で「上野にパンダが帰ってきた!」といった表記を目にするたび、パンダの威力に感心せずにはいられない。
2008年4月にリンリンが死んで以来、東京都立上野動物園は約3年ぶりに、中国から貸与される5歳のパンダのつがいである雄の比力(ビーリー)と雌の仙女(シィエンニュ)を迎えることができた。21日、中国四川省の省都である成都を出発した2頭は、パンダ柄に塗装された全日空機「FLY!パンダ」に乗って、同夜、成田空港に到着し、そのまま上野動物園に移動した。
上野動物園を運営する東京都側は、パンダのリース料として中国側に1年あたり95万ドル(約7900万円)を契約期間の10年間にわたって支払い、中国側はそれをパンダの自然保護に使うという。
9000万円をかけてパンダ施設を改修した上野動物園は、もちろんたいへんな力の入れようを見せているが、上野一体でも歓迎ムードが高まっている。店のガラスにパンダの図柄が張られ、街にはパンダの旗が立つ。もちろん、パンダ人気に当て込んだ経済活動もしたたかに繰り広げられている。パンダまんじゅう、パンダランチ、パンダの顔をかたどった伊達巻きから各種のパンダグッズまで、パンダにちなんだ様々な商品が販売されている。
パンダがもたらす経済効果はてきめんに表れている。メディアの報道によれば、到着した翌日の22日に、上野動物園には普段の平日の2倍近い約6000人の客が来園したそうだ。人寄せパンダという評判はやはり本物だ。
さらに、パンダの経済効果は200億円と見る予測も出てきた。その内訳は、動物園への入場者100万人増で6億円、入場者の食事代20億円、お土産代36億円、宿泊費96億円、交通費40億円の計200億円という計算だそうだ。
分かりやすく言えば、飼育関連の諸経費を除いて、年間約7900万円の投資で250倍の経済効果が得られる。200億円の経済効果が出るとすれば、それは雇用にも恩恵を及ぼすだろう。これほど経済効果がはっきりと出てくる話は最近ではめったにないだろう。上野周辺の人々の興奮した気持ちはわかる。
しかし、パンダ人気は逆にいろいろな問題点もあぶり出した。