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15分1.1万円が相場
女性の週給は30~40万円

 飛田新地内には、喫煙ベンチが2ヵ所ある。公衆トイレ横や、「嘆きの壁」階段下にあるこれらのベンチは、これから“料亭”で遊ぼうという客たちの「情報交換の場」として機能しているのだ。そこで出会った男性たちは皆、こう口を揃える。

「飛田では、どの通り、どの店に行っても料金は、皆、一律同じや。多少の違いはあっても大幅に変わるわけやない。強引な客引きもやらへん。だからお客さんも安心して遊べるんちゃう?」

飛田新地、大阪のど真ん中に広がる“異世界”を覗く(下)お客の男性たちが集い、情報交換をする公衆トイレ脇ベンチ

 そんな飛田新地の“料亭”で男性が遊ぶ費用は、15分で1万1000円、20分で1万6000円、30分で2万1000円というのが相場だ。ちなみに諸説あるものの、“お運びさん”女性の取り分は、客が支払った額の半額だといわれている。ただしそのうちの1割は、客を呼び込んだ“遣り手婆”に支払うのだという。

「店は開いてるけど誰もいない状態がずっと続いていたら、そこは“売れてる”ゆうことや。飛田では15分か20分の客が多い。“お運びさん”は1人客相手したら次の客を待たせんよう、すぐ準備せなあかん。それでも20分客なら1時間でせいぜい2人までしか相手できへんやろ。3人となるときついんちゃうかな……」(前出・地元住民)

 実際、人気のある“お運びさん”は、1日に10時間労働で、約10人から20人ほどの客を次々に相手にするのだという。仮に最短の15分コースで1日20人の客がついた場合、その収入は1日当たり約10万円弱といったところである。

「店で顔見世するから、風俗店のように顔写真を撮ることもないし、“お運びさん”の女の子は皆、安心して働けるとちゃうか。ただ短い時間で大勢の客を相手にするんや。体力面で辛いと思うで。でも飛田ではそこそこの“お運びさん”なら1日に平均して7、8万円は稼げるんや。週5日で30万円から40万円は稼げるて聞くな」(前出・同)