ダイアローグやコミュニケーションによって
「やる気の最大値や平均値」を意識させる

 自学自習に加えて、周囲の対話によるコミュニケーションによって、多くの若手は経験学習サイクルを駆動して、ひとつづつ成長へのステップを上がっていくでしょう。

 問題は、その手前で躓いてしまうタイプかもしれません。

 自助努力の足りないタイプ、学習意欲の低い新人には、どのように相対すればいいのでしょうか。

 なかには採用すべきではない人材を採用してしまった悲劇もあるかもしれません。あながち潜在能力が低いわけではないけれど、どうやっても「その仕事」に意欲がわかない若手。これは、育てられないあなたのせいではなく、採用を最終決定した経営層の責任です。そのことは、ひとまず除外しておきます。

「こんな仕事だと思っていなかった」とか「こんな会社(社風)だと思っていなかった」というミスマッチは、どこにでもありうることです。やってみなければ本当のことはわからないのですから。多くは、ひとまずやってみて、最初の想像を、実際とすり合わせて修正していく能力を持っています。

 ミスマッチのなかには、自分の能力を過大視しており、目の前の仕事=入社してすぐに取り組むエントリー・ワークが簡単すぎて不満を募らせるケースがあります。これについては、以前も述べましたが、「いいからやれ!」では、溝は深まるばかり。簡単に見える仕事が、業務フローの中でどのような位置づけにあり、かつ自分の能力向上のプロセスでどういう意味を持つか、を説明することが有効です。

 それでも不満が解消されないようなら、希望通りの仕事をさせてみて(セーフティー・ネットは、お互いのために必要ですが)、意図した失敗をさせるのもいいでしょう。

 それより私が問題だと思うのは、仕事や職場に対して強い不満があるわけではなく、言われたことはやる。しかし、必要以上のことはまったくしようとしないケースです。