スキマバイト 光と影#3Photo:Olena Ruban/gettyimages

スキマ時間に働けるスポットワーク(いわゆるスキマバイト)市場が急成長し、その登録者数は3200万人に達した。スポットワーク仲介事業者各社はユーザーの獲得競争を繰り広げており、争いは熾烈化している。しかし、事業者の“真の実力”は登録者数だけでは測れない。そこで鍵となるのが、「1日あたりの稼働ワーカー数」という指標だ。特集『スキマバイト 光と影』の#3では、この指標を基に、スポットワーク業界の真の勢力図に迫る。(ダイヤモンド編集部編集長 浅島亮子)

「稼働ワーカー数」で明らかになった
スポットワークの意外な業界序列

   スキマ時間にすぐ働けるという働き手のニーズと、人手不足に悩む企業のニーズが一致し、「スポットワーク(いわゆるスキマバイト)」市場は急成長を遂げた。

 業界団体であるスポットワーク協会によると、2025年2月時点での登録者数は約3200万人。これは、24年の日本の就業者数6781万人のほぼ半数に相当する。働く人の2人に1人が、何らかのスポットワーク仲介アプリに登録している計算になる。

 タイミー「タイミー」の登録者数は1000万人(24年12月時点)、メルカリ「メルカリ ハロ」は1200万人(25年6月時点)、そしてLINEヤフー「LINEスキマニ」はなんと2200万人(24年8月時点。LINE公式アカウントの友だち数)に達している。スポットワーク仲介事業者各社は、こうした登録者数の規模を前面に押し出しながら、熾烈なユーザー争奪戦を繰り広げている。

 しかし、登録者数には“数字のマジック”がある。多くの利用者が、スマートフォン上で複数のアプリに同時登録しているため、3200万人という数字は実態を正確に反映しているとは言えない。さらに、たとえ1000万人を超える人が登録していたところで、実際に働ける人数が少なければ意味がない。

 そこで、スポットワーク仲介事業者の“本当の実力”を測るには、「1日あたりの稼働ワーカー数」が重要な指標となる。実際にどれだけの労働力を提供できているかーー。それこそが、スポットワーク仲介事業者の競争力を示す尺度なのだ。

 次ページでは、主要なスポットワーク仲介事業者7社ーータイミー、メルカリ、フルキャスト、LINEスキマニ、パーソルホールディングス(HD)、ワールドホールディングス(HD)、スキマワークスーーの「稼働ワーカー数」の推移と実数を示す。一体どの企業がリードしているのか。意外な「業界序列」が明らかになった。