通勤・通学客をターゲットに
販売台数ベースでPB7割を目標
カインズ(群馬県/土屋裕雅社長)は昨年12月21日に、埼玉県桶川市内に自転車専門店「カインズ サイクルパーク」の第1号店をオープンした。
国道17号線から1本入った旧中山道沿いに立地し、JR高崎線の桶川駅から徒歩であれば15分、自転車なら7~8分の場所にある。桶川駅から高崎線の終着駅である上野駅までは約45分。電車で通勤、通学するため、駅までの自転車利用が多いエリアである。同店が主要ターゲットとするのは、まさにこの通勤、通学客だ。新業態となるが約2キロメートル離れて「カインズホーム北本店」があり、知名度には問題ない。
売場はプライベートブランド(PB)の商品が目立つ。たとえば、オフロードとしても利用できるクロスバイクを1万9800円と2万9800円の2車種投入した。「Avec Vent(風と一緒に)」と名付けられた新しいシリーズで、従来の軽快車やシティサイクルだけではなく、新たな客層開拓を狙った完成車も出揃った。PBはサイズや色の違いを含めると、約180SKUまで広がっている。
カインズは昨年度、完成車を約30万台販売した実績がある。昨年ヒットしたのが、PBの「パンクしにくい自転車」で、1年間で約3万台を販売。昨年末にはカラーを7色に増やしている。昨年4~11月の完成車の販売台数は前年同期比2%増となっており、好調を維持する。
中長期的にPBの売上高構成比50%を目標としているカインズだが、サイクルパークでは販売台数ベースで約7割をめざす。ちなみに、カインズ全店舗の自転車カテゴリーでは売上高の約6割がPBである。
現状では自転車カテゴリーの売上の8~9割が完成車だが、パーツ類のほか、メンテナンスでの売上も増やしていく考え。そのため、正社員3人が自転車整備士の資格を持ち、店舗全体では11人で運営していく。
売場には自転車以外のPBも陳列されている。たとえば、入口付近にあるサッカーボールや浮き輪だ。レジャー感覚で自転車を利用するお客への提案で、通路にはスポーツタオルを平台で陳列する。「こうした組み合わせの提案は始めたばかりで、どんどん変化させていく」と土屋裕雅社長は話す。
関東エリアでは、HCではカインズと同じく群馬県に本社を置くセキチュー(関口忠社長)が「サイクルワールド」を東京都内に5店舗、埼玉県戸田市に1店舗を構える。また、カンセキ(栃木県/長谷川静夫社長)が茨城県と群馬県に「ネオ・サイクリスタ」4店舗を展開している。
さらに自転車専門店では、新進気鋭のあさひ(大阪府/下田進社長)の成長が目立っており、昨年末までに全国に227店舗を展開中。地盤である近畿エリアだけでなく、関東エリアへの出店を強化している。あさひは自社で商品開発を行うSPA(製造小売業)企業で、PB比率はカインズを大幅に上回る50%以上を維持しており、粗利益率は2010年3月期で51.1%(前期比1.6ポイント増)を誇る優良企業だ。
また、群馬県を除く関東6県に111店舗を展開する老舗のセオサイクル(千葉県/瀬尾正忠社長)は創業55周年を迎え、実用的なシティ車だけでなく、スポーツ車の販売でも存在感を示している。HCだけではなく、有力専門店も加わり競争の厳しくなっているのが関東圏の自転車市場だ。
今回のサイクルパーク1号店は、衣料品店が入居していた物件への居抜き出店となった。「今後の出店については未定」(土屋社長)だが、居抜き物件への出店をメーンに、ショッピングセンターのテナント出店も視野に入れていく見込みである。
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