躊躇するバリアを払拭する
分解スキル

 実は、演習で高い評価を受けたのはB氏であったのだ。逆にA氏は、ビジネスパーソンの基礎ができていないとまで酷評されてしまった。

 何が起きていたかと言えば、A氏はそのプライドが邪魔をして、また慎重さゆえに、トレーナーが発言する毎に、相応のスピードではあったが、電子辞書を引き、日本語訳を確認。発言しようと思うたびに、念のため、また電子辞書をたたき、表現に工夫するという念の入れようだったのだ。案の定、電子辞書を使っている間に、次々と他のメンバーが発言し、セッションは進んでしまい、A氏は何も発言できぬまま、はたから見れば席であたふたとキーをたたいているうちに、プログラムが終了してしまった。

 一方、B氏は持ち前の積極性で、他のグローバルビジネスパーソンを押しのけ、立ち上がったり前に出て行ったりしては発言し続けた。他のメンバーが発言していようと、ホワイトボードにイメージ図を書き始め、他のメンバーの発言が終わるやいなや、そのイメージ図をたたいて注意を引くという、日本では百人中百人にトンデモだと思われる言動を繰り返した。英語はかなりのブロークンだったが、この彼の積極性が、アジアのマネジメントメンバーからは、極めて高評価を受けたのだった。

「躊躇するな」、「積極的にやれ」、「B氏のように動け」…といくら叫んでも、人はなかなかすぐにはそのようには変われない。そこで私は、躊躇する思いを払拭する方法を開発した。

 その方法が、英語の発音記号の活用だ。「a」と「e」の中間音である「ӕ」の発音を、踊りながら発音する方法なのだ。Japanの2つめのa、Catのa、Hatのa、Mapのa、そして、Appleのa...これらを、ジャパン、キャット、ハット、マップ、アップルではなく、表記するとすれば、ジャピィアーーーッン、キャァアーーーット、ヒャァアーーーット、ミャァアーーーップ、ェアッーーープルというように発音するのだ。それも踊りながら、体をくねらせながらだ。