進出企業は1000社

 とにかく、この公式会見でトランプ氏があらためて米国回帰を強調したことで、トヨタら日系自動車メーカーが生産計画の修正を迫られる事態が現実味を帯びてきた。

 すでに、米フォード・モーターがメキシコ工場新設を撤回したり、欧米フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)が米国拠点の拡充を決めたりと、トランプ氏の強引な要請になびく方針を鮮明にしている。

 タイミングは最悪だ。というのも、メキシコに自動車関連のサプライヤーが出そろったばかりだからだ。日系自動車メーカー各社にとって米国は最重点市場。各社は、北米自由貿易協定(NAFTA)による関税メリットと安価な労働力を得られるメキシコを、米国向けの車を生産する戦略拠点として位置付けてきた。

 日産自動車、ホンダが相次いで能力増強を行い、トヨタが工場新設に動いたのも自然の流れだった。完成車メーカーに伴って素材・部品メーカーもこぞって進出し、いまやメキシコにおける日系企業数は957社に上る。

 日系大手3社(トヨタ、日産、ホンダ)のメキシコでの生産台数を合算すると、2015年の約110万台から20年の約170万台へと激増させる計画だった。3社は共に米国で100万台規模を生産しているが、同5カ年の生産台数の計画は微増にとどまっている。

 トランプ氏による米国生産要請やNAFTAの見直しがあれば、生産修正が迫られるのは必至。日系自動車が、米新政権の一挙手一投足に神経をすり減らす時期が続きそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 浅島亮子)