トランプ流「恫喝戦術」に翻弄される
自動車メーカー各社は今後の動向に注視
2017年の幕開けとともに、米国のラスベガスで5日から開催された世界最大の家電見本市(CES)と続く9日から開催のデトロイトの北米国際自動車ショー(デトロイトモーターショー)では、「自動車」が話題の中心だった。
いまやCESは、家電ショーというよりも自動車が主役となってきており、今回もAI(人工知能)が搭載されたAI車が存在感を強めた。また、デトロイトモーターショーも各メーカーの新型車が披露され、米国復活の象徴的なモーターショーとなっている。
だが、それ以上に日本と世界を困惑させたのが、今月20日に米大統領に就任する予定のドナルド・トランプ氏のツイッター投稿だった。大統領選の頃からSNSを活用する異色の次期米大統領は、今年に入ってからも就任前の自由な立場からブラフ(はったり)とも思える投稿を頻発し、ついに日本のトヨタを名指しでこう批判した。
「トヨタ自動車はメキシコのバハ・カリフォルニア州に新工場を建て、米国向けにカローラを生産すると言っている。あり得ない!米国に工場を建てろ。さもなければ高い国境税を払え」
これが5日にツイッターから発したトランプ氏自身の全文である。
トヨタはこれに対し、デトロイトショーが開幕した9日、現地での新型『カムリ』発表の席上で、豊田章男社長が「今後、5年間で米国に100億ドル(約1兆1600億円)を投資する」ことを表明した。同時にトヨタはこれまで米国で60年間に渡り220億ドルを投資してきており、米国でクルマの開発・生産・販売に携わる約13万6000名のトヨタのメンバーがいることも強調した。
一方でメキシコ新工場は予定通りとする方針だ。名指しで批判したトランプ氏にトヨタの米国投資、雇用貢献をトップ自らデトロイトで発言したことの効果は大きいと言えるのではないか。