藤田裕子さん
大学卒業後、国家公務員として主に公的年金に関する業務に携わる傍ら、司法試験の勉強を開始。受験勉強中にストプロの存在を知り、「オウチごはん」に共感したことから活動に参加。2015年弁護士登録。現在、新星法律事務所勤務。福岡県弁護士会子どもの権利委員会委員。

 そのままでは、高校生は「高校中退」となるしかない。

「でも本人は、高校を卒業したいんです。高校に問い合わせてみると『私たちもその子に卒業してほしい』と。欠席期間はレポートなどで補えるよう配慮する、ということでした。私はその自治体に、『このままでは、この子は高校を卒業できなくなります』と訴え、高校は自治体との連携を約束してくれました。私は自治体に対して、高校の協力が得られることを伝えました」(藤田さん)

 本人は、残り少ない高校生活へと無事に戻ることができた。高校は、本人のために補講をするほか、本人が家庭のことに関するSOSを出しやすいように面談の時間を設けるなど、本人の卒業を様々な面でサポートし始めた。

「学校の力はすごいです。学校の協力があったからこそ、本人とも自治体とも、『高校卒業』を目標として話を進めることができました」(藤田さん)

「あと、ほんの何ヵ月かで中卒か高卒かの分かれ道でしたからね。学校が動いたら、民間が何を訴えても動かない行政が、動くんです」(坪井さん)

 しかし、高校が動くことができたのは、本人が高校在学中だったからだ。高校という場に属していることの意義を痛感している坪井さんは、「せめて、生活保護で安心して高校を卒業することができれば」と願っている。

「今、低賃金労働や非正規雇用で働いている中卒や高校中退のユースたちが、2~3年間、生活保護を受けながら高校に通い、高卒の最終学歴を得ることを、私は勧めたいです」(坪井さん)

学びや育ちの機会も「健康で文化的な
最低限度の生活」に含まれるはず

本連載の著者・みわよしこさんの書籍「生活保護リアル」(日本評論社)が好評発売中

 それを「ふつう」にするためには、数多くの課題を解決する必要がある。16歳以上の年齢で、アルバイトでなんとかギリギリの生活ができているのであれば、福祉事務所は「働けるんだから生活保護は不要」と考えがちだ。成年に達していれば、なおさらそういう見方になるだろう。

 必要なのは、学びや育ちの機会も「健康で文化的な最低限度の生活」に含まれているという発想の転換ではないだろうか。少なくとも、15歳~18歳での「高校在学」「高校卒業」という機会を失いそうな、あるいは過去に失ってしまった人々に対し、生活と機会を一緒に保障することは、生活保護制度の目的の1つである「自立の助長」そのものであるはずだ。

(フリーランス・ライター みわよしこ)