資料を作るために仕事をしているのではなく、仕事をした成果が資料になっていることを忘れてはいけません。自信を持って、一部の人にしかわからないような複雑な資料は減らしてください。
赤字を引き寄せる「魔の資料」とは?
以前は一定の効果がありましたが、今の時代では避けたほうがよい資料の典型は「営業社員100人全員の売上順位リスト」「営業店舗100店全店舗の売上順位リスト」です。一見競争心を煽るようでいいように見えますが、今の時代は逆効果です。最下位の営業社員、店舗を「さらし者」にして、その人たちが奮起する時代ではありません。
それは、「君が辞めても、いくらでもうちに入社したい人はいるんだよ」という時代の話です。その時代であれば、「せっかく入社したのだから」という気持ちで奮起した場合もあったでしょう。
しかし、今は人口減に転じて人手不足の時代です。最下位の社員が「屈辱です」「ついていけません」と言って辞めた後に、すぐに人は入らないのです。そうすると自動的に、翌月は99位の社員や店舗が最下位となり、「さらし者」になります。同じように自尊心を傷つけられて辞めていきます。
企業規模や売上も少しずつ減少していくので、優秀な社員や店舗にしわ寄せや負担がいくようになり、会社全体が重苦しい空気になっていきます。そうなると、負のスパイラルが止まらなくなります。
本来辞められると困るような優秀な社員が、今度はいい条件の会社に転職し始めます。おのずとさらに売上と利益も減ります。「余計な資料」は、事務方の作業時間も費やすうえに、売上や利益をも減らしかねないのです。
もし売上順位リストを作るなら?
どうしても役員会でその資料を披露したかったら、最大上位10位までにする。あるいは、全員分の指標を披露したければ、営業部だけの会議で披露する形で十分です。下位の社員や店舗はさらし者にせず、直接マンツーマンで個別に実務指導するほうが数字の改善が見込めます。