全長×全幅×全高=5110×1900×1480ミリ


 先頃フルモデルチェンジを受けたBMW7シリーズは、伝統的に運転を楽しめる大型セダンという他に類のないキャラクターが人気を呼んできた。

 新型になっても核になる魅力は変わらず、さらに先進的安全性やコネクティビティといった現代的なテクノロジーが盛り込まれている。

 MW 740e iPerformance(アイパフォーマンス)はフラグシップの7シリーズに追加設定されたプラグインハイブリッド車だ。
 

外部充電可能なシステム採用でメーカー発表値はリッター15.6km(JC08モード)


 全長5mを超える車体に2リッターガソリンエンジンと電気モーターを使ったハイブリッドシステムを搭載。燃費はリッター15.6キロというのがメーカー発表の数値である。

 もうすこしだけメカニズムのことを書かせていただくと、エンジンは2リッター4気筒ターボ。最高出力は190kW(258ps)、最大トルクは400Nmとかなり高い数値を誇る。

 250Nm の最大トルクを瞬時に発生する電気モーター(8段オートマチック変速機内藏タイプ)が組み合わされる。
 

電気モーターだけの走行をメインとする「MAX eDrive」というモードもある


 運転した印象は意外なほどスムーズだ。一時のドイツ製のハイブリッドとは格段に違い、エンジンと電気モーターの切り替わりはまったくわからない。

 電気モーターだけで42km走行できるというが、バッテリーをほぼ使いきるようにまずEVモードを使うのでなく、こまめにエンジンが動く。

 ハイブリッドシステムをコンパクトにしたかわりに「コンフォート」など通常モードでは(あたかもプリウスのように)エンジンとモーターがしっかり二人三脚でこのクルマを走らせるのだ。
 

危機回避のための自動操舵システムを備える


 渋滞時にも停止と発進を自動で行うアクティブ・クルーズコントロールやステアリング&レーンコントロールアシストを装備。

 側突を予防する目的のアクティブサイドコリジョンプロテクションでは隣りの車線にいる車両の動きをつねにセンサリングし、いざというときはコンピューターがステアリングホイール操作に介入する。

 クルマの外からディスプレイキーによってリモートコントロールで駐車できるパーキングアシストは乗り降りが不便な場所などで有効なシステムだ。

 インフォメーションディスプレイにはジェスチャーコントロールが組み合わされていて、たとえばオーディオの音量調整は指を回す動作で行える。

 腕を伸ばしてダイヤルを回したり、複雑化しているステアリングホイールのセンターパッド上で音量スイッチを探さなくてよいのがメリットだ。
 

ハイブリッドシステムは電気モーターと8段トランスミッション一体型


 価格はスタンダードモデルで1169万円。ライバルのメルセデス・ベンツSクラスにはS300h(998万円)や同S400h(1123万円)といったハイブリッドモデルがある。

 外部充電可能なプラグインハイブリッドはメルセデス・ベンツS500eロング(1638万円)だ。レクサスにもLS600h(1081.1万円)があるが外部充電が出来ないモデルである。
 

外部充電式のプラグインハイブリッド


 BMW 740e iPerformanceはその意味でも個性が光る。スポーティな7シリーズのキャラクターはちゃんと備えているのもよい。

 カーブでハンドルを切ったときの動きは鋭く、アクセルペダルを少しだけ踏み込んだときの絶妙な加速性といい、2トンの車重を持つ高級セダンとは思えないすぐれた操縦性だ。

 室内の作りもよく、居心地は抜群。先進的安全装備も充実していて、新世代のプレミアムセダンのひとつの理想型になっているのである。