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“月額会員制のラーメン屋”も登場する?
「サブスクリプションモデル」の衝撃

大河原克行
【第139回】 2017年1月24日
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サブスクリプションで
重要なのは価格戦略

――Zuoraの強みはどこにあるのですか。

ツォ Zuoraの強みは、サブスクリプションモデルに特化した企業であり、サブスクリプションモデルによって成功するために最高の技術を提供し、サブスクリプションエコノミーにおいて、成功するための知見を提供することができる企業であることです。また、コミュニティを通じて、800社以上の導入実績をもとにした新たなビジネスモデルでの成功事例や、アイデアの共有を進めているという点も、Zuoraの強みになります。

 新たなサービスを迅速に構築でき、サブスクリプションモデル特有の複雑なプライシング戦略にも柔軟に対応でき、常に新たな機能を追加しています。顧客の声をもとに、80カ月以上連続で、バージョンアップを行っているのもZuoraの強みだといえます。

 2000年のフォーチュン500の企業のうち、52%の企業が、買収や統合によって消えています。この背景には、世の中の変化がどんどん速くなり、様々なところで、デジタルディスラプション(デジタルによる破壊的変革)が発生している点が見逃せません。

 かつては通信業界にいれば、通信業界にいる企業としか競合しないことが常識でした。そしてそれは、あらゆる業界に共通したものでした。しかし、いまではあらゆる業種、業態から、競合が参入してくる時代になっています。ある日突然、Googleと戦うことになったり、Amazonと戦うことになったり、ということが起きています。さらに、歴史の長い企業が、スタートアップ企業と戦わなくてはならない、ということも起こっている。まさに、デジタルディスラプションが起こっているというわけです。

 これは、消費者が変化しているということにもつながります。クルマは、販売するビジネスがこれまでの主流でしたが、カーシェアリングというビジネスが生まれ、顧客の関心がそっちに向かってしまった途端に、クルマを売るビジネスの勢いは当然鈍化することになります。顧客の変化が企業のビジネスを変化させるわけです。GMやフォードがコネクテッドカーという方向に動いているのはそのためです。

 新聞も同様です。多くの人にとって、伝統的な紙媒体だけが、情報を得る手段ではありません。それにも関わらず、紙の新聞だけにこだわると読者は減る一方です。ここにも、モノを買わずに、複数の媒体にアクセスして情報を得たいというサービスへの移行が高まっており、その背景には、ユーザー意識の変化が影響しているといえます。

 消費者の意識が変化しているからこそ、企業がそれに追随し、変化しなくてはいけない。それに追随できない企業は生き残れません。

 ここで大切なのは、だからといって、サブスクリプションモデルに移行するだけで生き残れるわけではないということです。大切なのは、サブスクリプションモデルに移行することではなく、顧客ニーズにどう応えるのか、そのためにどうイノベーションをするのかということであり、発想そのものを変えていくことです。サブスクリプションモデルをひとつの財務モデルとしてだけ捉えるのではなく、新たなビジネスモデルとして広く捉え、どうやってリレーションシップから収益をあげるのかという考え方にシフトしなくてはいけません。

 例えば、Uberは都度払いですが、一度、Uberを使ったからには、UberのIDを持ち、クレジットカードでの支払い実績が発生します。その関係を活用して、今度は、ニューヨークなどで、月額での定額乗車サービスも開始し、新たなビジネスを開始しています。このように考え方を変える上で、サブスクリプションモデルを活用するということこそが重要なのです。

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