カリスマ創業会長の謝罪は
アパにとって大ダメージ

 理由も3つある。

 まず、ひとつはここで頭を下げることで、「中国に屈したアパホテル」というイメージがついて、別の「敵」が生まれる恐れがあるのだ。

「右翼ホテル」というのがまったくアパ側の意図ではなく、中国側に誤解を与えたというのなら、アメリカの百貨店のように速攻で頭を下げればいい。しかし、客観的にみてもアパは「右翼ホテル」と呼んで差し支えない。ホームページを見ても、その政治信条を隠すことなく、ホテルビジネスを続けてきたのである。

 そういう「姿勢」を支持する人々もいることを忘れてはいけない。謝罪をすることで中国人団体客のキャンセルを阻むことができたとしても、これまで味方だった人々、支持者が離れていってしまう。目先の利益のために、それまで胸を張って訴えていた主義主張を曲げるというのは、「変節」と捉えられる。

 ましてや、アパがここまで成長してきたのは、帽子の奥さんではなく、元谷会長の類稀なる経営手腕によるところが大きい。このようなサラリーマン社長ではないカリスマ創業社長にとって、「変節」は、その人間的魅力を失墜させる大きなリスクだ。つまり今回の騒動で頭を下げることで、アパは成長を支えてきた経営者の「カリスマ性」という、何ものにも代えがたい大きな代償を払うことになるのだ。

 そんなことを言っても、中国進出している日系企業や東京オリンピックに影響があるのなら、カリスマだなんだと言っても頭を下げなくてはいけないだろう、という見方もあるだろうが、筆者は逆だ。

 それが2つめの理由である「悪しき前例」になる恐れがあるからだ。