なかには放っておいても育つ若手もいるかもしれません。でも、それはレアケースです。その潜在能力を掘り起こしながら、かつ未知の仕事への興味・関心を喚起して、仕事のやりがいと醍醐味を実感することによって、若手の学習サイクルが最高潮に達するのだとすれば、そこには計画された育成的関与がどうしても必要になります。
カギを握るのは、いまや「お任せジョブ・トレーニング」と堕してしまった感のあるOJTです。
その理由は明らかで、成人の能力開発の70%は仕事上の経験によるからです。考えてみてください。あなたは、ここまで仕事能力を向上させてくるうち、どのぐらいを「研修室での学び」で実現してきましたか?
研修の企画・運営も仕事の一部とする私がこう言ってしまうと身も蓋もありませんが、研修室での学びは、基本的には補完的なものであり、OJTで身に付けた知識やスキルを確認することにこそ真価を発揮します(新入社員時の導入研修は、その例外です)。
OJTを再活性化するためには、どうすればいいか。何を変革する必要があるのか。連載の最終回に当たって、再度、確認をしていきましょう。
1年勝負ではなく
もっと長いストロークで考える
もう少しだけ、前置きを続けます。
低成長下にある現状では、会社は若手にあえて失敗させることを許容しないかもしれません。でも、成功だけを続けることは、どんなに優れた人材にも不可能なことです。
私は長い間、週刊誌の記者として仕事をしてきました。週刊誌は年間におよそ50冊を発行しますが、50週、いちども外すことなくヒットを続けることは不可能です。