ソフトバンク急成長の秘密とは?
このように、ソフトバンクの歩みは、高リスクな大きなチャレンジの結果のように見えて、実は許容できる範囲のリスクの挑戦をいくつも積み重ねた末の集大成なのです。
もちろん、途中で失敗や挫折を味わったこともたくさんあります。しかし、もともと許容できる範囲のリスクで始めたことばかりなので、失敗しても大きな痛手にはなりません。むしろ貴重な経験として、次の事業プランに生かされます。
多くの人は、「孫社長はすぐれた経営センスと勘で、次の時代に流行りそうなものを当てている、だから、それは普通の人にはマネできない」と思っているのではないでしょうか。
事実はそうではなく、孫社長は失敗を繰り返しながら、実直に成功へ近づいていったのです。
この成長の過程で絶え間なく孫社長が回し続けたのがPDCAです。ただし、少しだけPDCAの使い方を工夫していました。
こうお話しすると、「それは孫社長というカリスマリーダーが率いる組織だからできることでは?」と誰もが身構えます。
でも、そんなことはありません。これは次に挙げる、たった3つのことを大切にすれば、誰にでもできることです。
(1)思いついた計画は、可能な限りすべて同時に実行する
(2)1日ごとの目標を決め、結果を毎日チェックして改善する
(3)目標も結果も、数字で管理する
これを私は「ソフトバンク三原則」と呼んでいます。
「それほどすごいことはやっていないじゃないか」と感じたかもしれません。
でも、この特別ではない3つのことをPDCAに組み込み、着実に積み重ねてきたことが、ソフトバンク躍進の最大の秘密なのです。
そして、私はこのPDCAを「高速PDCA」と名付けました。