3月18日(金)の協調介入から1週間ほど後に行われた私的な会合で、このような話題が取りざたされました。

 じつは、あの協調介入について、欧米の当局は、日本クライシスが世界経済に波及するリスクを懸念し、対米ドルで、85円でも、90円でも円安誘導に協力する雰囲気だったというのです。

今年の夏前にも「貿易赤字国の通貨」になる円

 しかし、そのようにしなかったのは、一方で、当局者たちの頭の中に円の暴落を懸念する考え方があったからです。

 本当の恐怖は円高より円安で、一線を越えたら「止まらない円安」になりかねない、そのような懸念が、どうやら当局者たちの本音なのかもしれません。

 これまでの円は、リスク回避局面で安全資産として買われるのが基本でした。

 考えてみれば、世界一の低金利通貨で、しかも財政赤字大国の通貨である円が「安全資産」とされるのは違和感がなくはありません。

 ところが、貿易黒字という円の「安全神話」の大前提が崩れる可能性が出てきたのです。

 1995年の阪神・淡路大震災の後、日本の貿易黒字は約2年間で半減しました。これは輸入が急増したことが主因で、震災後の経済復興のために輸入が増えるという構図は今回も変わらないと思いますので、これから輸入の急増が予想されます。

 その一方で、今回は輸出製品の生産ラインが大きな打撃を受けており、減産が広がり、長期化する見通しとなっています。この結果、輸出は横ばいから減少に転じる可能性も考えられます。

 こういったことから、日本の貿易収支は早ければ7~9月期にも赤字に転落するとの見方があります。

 その後、2~3年は貿易赤字が拡大するといった見通しが基本のようであり、そうであれば、円は貿易赤字国通貨となり、「安全神話」の大前提が崩れかねません。

それでも、4月に円安一服となる可能性も

 ただし、米国雇用統計の結果が良かったとしても、目先的には76円台から続いてきた米ドルの上昇、クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の急上昇がこのまま続くというのは、さすがに微妙ではないでしょうか?

 この4月は、全般的な円安への反転の動きが、ひと息つく局面になるかもしれません。

資料1

 

 たとえば、3月と4月の米ドル/円は逆方向に動きやすいといった経験則があります。「資料1」で過去10年間を見ると、3月と4月の米ドル/円が逆方向に動いたのは8回もありました。

 ちなみに、今年の3月は、一時76円台まで「米ドル安・円高」に振れましたが、そこから大きく切り返し、最終的に米ドルは月足で陽線引け、つまり「米ドル高・円安」となりました。

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