例年、春が近づくにつれて増えていく「引越し」。実はこれからの時期、引越しを考えるのは学生ばかりではない。家庭によって事情はまちまちだが、現在住んでいる賃貸の更新時期が来たり、生活スタイルが変化したりといった理由により、寒さが和らぐ春先にかけて引越しを考えるサラリーマンやOLも少なくないだろう。

 この連載は、これまでマイホーム購入を目指して「住活」を続けるサラリーマン世帯に向けた情報を主に提供してきたが、今回は少し趣向を変えて「トクする引越し」について考えてみよう。

  「住活」の醍醐味は、なにもマイホームの購入ばかりではない。転職、結婚、子供の進学など、人生のあらゆるイベントに関連して起こり得る引越しと賃貸物件探しは、気がつくとコスト面でもライフスタイル面でも、自分の人生に大きな影響を及ぼしていることが多いものだ。

 そこで、引越しに関する豊富なアンケート結果を用いながら、引越しと賃貸物件の最新トレンドを詳しく説明していこう。

引越しを考え始めたきっかけは
更新時期や生活スタイルの変化

 まずは、「引越しを思い立ったきっかけ」を分析してみよう。アンケートによると、「更新時期がきたから」が17.0%でトップとなっている。「更新手数料を払って今と変わらない生活を続けるなら、もう少し金額をプラスして新しい生活を始めたい」と考える人も少なくないようだ。

 引越しの理由を世帯構成別に見てみると、一人暮らしの女性社会人では、「一人暮らしをしたかったから」(21.0%)という理由がトップとなっており、これは一人暮らしの男性社会人(17.9%)に比べてやや多い。

 一方、一人暮らしの男性社会人については、「転職したから」という理由がトップで、22.1%となっている。ちなみに、ふたりの世帯では「結婚した(する)から」(35.7%)、ファミリーでは「転勤したから」(19.7%)といった項目がトップだ。

 これを見ると、男性社会人、ふたりの世帯、ファミリーの世帯は、環境の変化といった外的要因がきっかけとなって引越しすることが多いようだ。それに対して、「一人暮らしをしたかった」という内的要因をきっかけに引越しを思い立つケースが目立つのが、女性社会人。

 実際、ふたりの世帯、ファミリーの世帯のように家族が増えると、自分1人の気持ちで引越しを決められないのが実情だ。その点、生活力があって身軽な女性社会人は、「自分の気持ち1つで引越しを思い立つことができる」という背景をうかがうことができる。