たとえば、朝には赤い表紙の本を目立つところにずらっと並べておいて、夕方には、同じ場所に白っぽい本に並べ変えておく。そうすると「あれっ」と思ってもらえて、夕方に手にとってもらえる。そういうふうに、まずは止まってもらう仕掛けをしました。
あと、駅中のお店では、ランキングなども有効でした。いまのような大きなお店では、品揃えも潤沢にできますし、本好きの人も多いので、ランキングはさほど効果的ではなく、むしろPOPを書いたりなどが効果的です。
同じ販促でも、お店の特徴によって効果は手法ごとに変ってきます。仕掛けに関しては、小さな店の方が狭さを利用して、一つの本をたくさん積んでおけば、インパクトが出て販売につながるんですが、大きなお店だと、たくさん積んでもお店全体から見ると相対的にインパクトがないので、さらなる工夫が必要になります。
――何気ない陳列にも工夫があるんですね?
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昼間 読者の背中を一回くらい押しても、なかなか買ってもらえないじゃないですか。一回、新聞広告を見たから買うというほど単純じゃないです。電車の中で広告を見て、ネットで書評を目にして、そして売り場を覗いたら入口に置いてあったら、この本はそんなに面白そうなんだということで買おうとなるんです。だからいくつも工夫を積み重ねて売りにつながないといけないんです。
「なにかある」というお店にしたい
――現在の池袋店の特徴は?
昼間 ここには2009年に来たのですが、船橋店や汐留店とは違って、読者層がばらばらなんです。ビジネスマンもいらっしゃれば、主婦や家族連れ、あるいは年配の方もいらっしゃいます。池袋というターミナル駅でさらに駅の側という立地ですから。
かといって、大宮店のように人が流れていくだけでなく、意識的に本を探しに来る人が多いのです。ですから大宮店ほどランキングは販促に効きません。じっくり本を選んで買われるお客さんが多いです。売れるジャンルもビジネス書や文庫などと偏っていないので、全方位的に見えるとお店としての面白みが出ないですし、かといってとんがりすぎてもいけない。