編集者がつくった書籍を、まるで自分のもののように大切に売ってくれる一方で、時に厳しい意見も頂戴します。それも愛情の証。だから多くの編集者が絶大な信頼を置いています。それが、リブロ池袋本店のマネジャー、昼間匠(ひるまたくみ)さんです。前編の今回は、経歴を振り返っていただきながら、読者に本を届ける仕事の醍醐味を語ってくれました。

客層の違うお店を経験したことが、
自分の宝

――リブロ池袋本店と言えば、昔の「西武ブックセンター」ですよね。40代以上の読者にとっては、若かりし頃の文化の拠点というイメージのあった書店ですが。

「『リブロがあるから池袋に行こう』と思ってくれるお客さまを増やしていきたい」と語る昼間さん。

昼間 ええ、年配のお客さまにはそのようによく言っていただきます。当時はいまより大型店も少なかったですし、池袋では断トツの大きな書店でした。いまでは1000坪の書店といってもさほど珍しくないですから、「大きな書店」という位置づけだけで勝負できる時代ではありません。それぞれお店としての個性が必要になっています。それに1000坪あっても、新刊の点数も多いですからすべての本を並べられるわけではないんです。

 ですから、品揃えは重要になります。大型店ではありますが、そんななかでもセレクトされた本が並ぶ1000坪というのを売りにしていかないといけないんです。

――その中で、昼間さんのご担当は?

昼間 ビジネス書、文芸書、新書、文庫です。うちの店は、8フロアあるなかの、Aゾーンを担当しています。ここ池袋本店に来るまで、船橋店、汐留店、大宮店、港北店と4つの店舗を経験させてもらいました。それぞれ客層も売れ筋商品も違うお店を経験させてもらったのが、いまの仕事にとても役立っています。

――たとえば、どういう違いがありしたか?

昼間 リブロに入社して最初が船橋店で、そこに4年ほどいました。ここは大きな店で新入社員ということで、文庫や雑誌など一通り担当させてもらいました。その後、汐留店に店長として赴任しました。

 船橋店は百貨店の中にあるお店だったので、お客さんの8割は女性でした。男性のお客さんは土日には増えましたが、スーツ姿の男性客は圧倒的に少なかったです。一方の汐留では、駅降りるとみんなスーツ姿(笑)。驚きました。最初にレジに入ったとき、自分と年の変らない女性のお客さんが、御社の『MBA』シリーズと雑誌の『Hanako』をフツーに買っていかれたんです。それを見て、「ここはこういう街なんだ」と、あらためて認識を新たにしました。

 汐留は、ビジネス街でのなかでも、情報をつくる側の人たちがいる街じゃないですか。周辺に本社があるのは、電通、日本テレビ、共同通信などですから。だから、売れる本が世間より早いという実感を日々感じていました。凄く勉強になりました。

 一般的な書店の感覚では、テレビや雑誌に紹介されたものを揃えるというじゃないですか?でもここでは、紹介する側の人たちが買うから、紹介される前に売れるんです。世間で売れ出した頃には、とっくに売れているんです。