頑固なフケ症に悩んでいたMさん、45歳。いろいろ工夫をしてみたが、いっこうに治まらない。思春期の娘に強く言われて受診した皮膚科で「乾癬(かんせん)」と診断された──。
乾癬は皮膚が赤く盛り上がり、その発疹の表面が白くウロコ状に角質化してポロポロはがれ落ちる皮膚の病気。かゆみを伴うこともあり、フケ症あるいは脂漏性皮膚炎と勘違いされやすい。乾癬のうち9割は肘や膝、頭皮など擦れやすい部分に発疹が現れる「尋常性乾癬」だ。このほか発疹と関節に炎症が生じる「乾癬性関節炎」や、発疹に膿疱が混じる「膿疱性乾癬」などがある。日本人の発症率は人口の0.1~0.2%、男性では30~40代の発症が多い。
一般に皮膚の表面を覆う角質細胞は、およそ45日間の周期で入れ替わり、最終的に垢となってはがれる。ところが乾癬の発疹部分ではこのサイクルが10倍にも加速し、未成熟な角質細胞がどんどん堆積していく。小さなキズをきっかけに身体の免疫─炎症反応が暴走し、角質細胞の増殖が生じると考えられているが、まだ明確な結論は出ていない。
乾癬は致命的でこそないが「商談の後で立ち上がると、脱皮でもしたようなありさまで、気まずい思いをする」「恋愛や結婚に前向きになれない」など見かけ以上に精神的、社会的な苦痛がつきまとう。