「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
栄養価の高い「キノコ」。おすすめの種類は?
キノコの細胞壁には、ベータグルカンという食物繊維の一種が多く含まれています。このベータグルカンは免疫を強くする作用があることが研究でわかっています[*57]。
総合的な栄養価で見ると、しいたけがおすすめです。
「海藻」も毎日食べてほしい食材
海藻も食物繊維が豊富です。みそ汁や酢の物の具として、定番のレパートリーにしてしまいましょう。
食物繊維は免疫、腸、皮膚、脳などによい影響をもたらす重要な栄養素です。
補足ですが、海藻にはヨード(ヨウ素)が含まれます。ヨードとは甲状腺ホルモンの材料です。多くの国でヨード不足が懸念されていますが、日本や韓国では日常の食品で摂れています。
ただしよいことだけではありません。ヨードを摂りすぎると、甲状腺の機能に影響を与えることがあります。とくに昆布、あおさにはヨードが多く含まれます。何事もバランスが大事ですね。甲状腺の治療中の方は医師の指示に従ってください。
皮膚と腸は関係が深い
皮膚と腸は、「皮膚腸相関」あるいは「腸皮膚相関」といって密接な関係があることが研究で示されています。
腸の状態が悪いと皮膚に反映され、皮膚の状態が悪くなると腸の状態が悪化します[*58]。
世界各地の研究者が腸と皮膚の研究を進めています。日本では慶応義塾大学の先生方が、乾癬(かんせん)という皮膚の病気と腸の病気についての画期的な研究を発表しています[*59]。
善玉菌と食物繊維を摂って腸ケアをすることが、皮膚にもよい影響をもたらします。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)
*58 Chakrabarti A, et al. The microbiota-gut-brain axis: pathways to better brain health. Perspectives on what we know, what we need to investigate and how to put knowledge into practice. Cell Mol Life Sci. 2022; 79(2):80.
*59 Miki Y, et al. Group IIA secreted phospholipase A2 controls skin carcinogenesis and psoriasis by shaping the gut microbiota. JCI Insight. 2022 Jan 25; 7(2):e152611.