4番目の規制緩和の目的は、新規参入を促し競争を促進して、労働生産性を上げることにある。トランプ政権は金融分野やエネルギー分野の規制緩和を掲げているが、その内容がまだはっきりせず、評価できる段階にない。

 以上のようにトランプ経済政策は、中長期で見ると経済成長率を下押しするものが多い。要するに、他の条件が変わらなければ、トランプノミクスの効果は短期的なものにとどまり、中長期的には失敗する可能性が高い。

トランプノミクスの成否を
握るのは金融・為替政策

 ただし、トランプノミクスが成功するケースも想定できる。他の条件が変わる場合である。ここにトランプ政権のこれからの出かたを占うヒントがある。

 最大のポイントは為替だ。ドル高を防ぎ為替を安定させれば、拡張的財政政策は、輸出減や輸入増によって、効果が減殺されることがない。そしてドル高を防ぐために考えられる第1のケースは、米国が金融引き締め(利上げ)を遅らせて金利の上昇を抑え、内外の金利差を拡大させないことだ。それ故に、トランプ政権が金利引き上げモードに入っているFRB(連邦準備制度理事会)に、どのような圧力をかけるのか注目される。

 もう一つは、国際的な政策協調。要は、米国と同様の政策を外国にも採用させることである。例えば、FRBが利上げに動いたとしても、日本がより一段の拡張的財政政策を採れば、日本の金利も上がり、日米の金利差が広がらない(日本から米国に投資資金が流れない)ため、ドル高を防ぐことができる。加えて、トランプ大統領は日本が円安を実現するために、金融緩和政策を利用していると批判している。日本銀行が超金融緩和を解除すれば、日米の金融政策は同じ方向を向くことになりドル高を防ぐことができる。

 折しも、マクロ経済の原因と結果をめぐる実証的な研究でノーベル経済学賞を受賞したクリストファー・シムズ氏が来日し、日本のデフレ脱却には財政支出の拡大が必要だと述べた。トランプ大統領の対日批判は、一見するとバラバラで思いつきのように見えるが、案外、経済理論に適っている。したたかな交渉相手であることは間違いなさそうだ。