そう考えると、もちろんデジタルの時代といえども著作権の保護が必要なのは当然であり、かついまだに導入が主張される“日本版フェアユース規定”(ネット上での複製を自由にする)などは論外であるものの、保護の度合いの見直しは不可欠ではないでしょうか。

日米両国の人々が2作品を
きっかけに考えるべきこと

 このように考えると、こじつけのようになってしまうかもしれませんが、『ラ・ラ・ランド』と『君の名は。』の両作品は、作品の出来の素晴らしさのみならず、日米両国にとって重要なインプリケーションを含んでいるように思えます。

 まず、そろそろスマホの使い過ぎの弊害を意識すべきです。スマホの使い過ぎは、集中力の低下、テキストの読み方が浅い読みになる、行動が受け身になるなど、クリエイティビティや独創性が重要な時代にもかかわらず、人間をそれと正反対の方向に導いてしまいます。

 個人的には、政府がスマホの利用時間を規制することが必要と思っていますが、さすがにそれは非現実的なので、それならせめて個人レベルでスマホのリスクをもっと意識すべきではないでしょうか。

 次に、著作権のあり方については、日米双方とも継続的に見直しを行っており、日本では文化庁が最近、著作権法改正の方向性を示しました。

 ただ、こうした見直しはもちろん重要ではあるものの、かつての著作権法の部分的な修正にとどまっているのも事実です。もしかしたら若い作り手の意識も変わりつつあるという現実を考えると、こうした継続的な見直しを行いつつも、どこかのタイミングで制度自体を根本から見直すことも必要ではないでしょうか。

(慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授 岸 博幸)