吉田 なるほど。フラットに意見を言い合える組織というのは、組織の有り様そのものも、議論をベースにしたものになるんですね。

星野 そうです。皆に正しい議論をしてほしいから、情報はすべて開示します。当然ながら、「マネジャーだから知っている」というような情報格差による権威づけは崩れます。

 誰が言ったから、ではなく、言ったことの内容で判断し、議論できるようになる。議論の流れも、みなフラットに共有できる。

 そうなれば、ポジションに就いている人は、情報を持っているかどうかではなく、説得力のある正しい判断ができるかどうかが問われるようになる。旧来型のピラミッド構造で働いていたミドルクラスの人にとっては、これが一番怖い事態でしょう。私たちが運営を受注した中には再生案件もありますから、そうした人々の意識改革を進められるかは大きな勝負どころとなります。

 ただ一方で、日本の経営者やマネジャーは、「自分は常に正しくなければならない」と思い込みすぎているように感じるのです。自分で自分に重圧をかけている。いったん取っ払ってしまえば、実に自由で気持ちのよいものです。 

 私なんて、しょっちゅう思いつきで話したりして、まわりにも「絶対に、私の言うとおりにやらないでくれ」とお願いしているほどです。しかし、私の意見を精査してもらえば、反対意見も出るし、よい案も浮かび上がってきます。

 経営者の人たちのほとんどが、血圧を上げながらがんがん仕事をしている。でも、フラットな組織が前提として根づいていれば、トップが思いつきで何か言っても賛否両論が出たり、新たな方向に議論が広がったり、何とでもなります。私もよい案には前言撤回して、「そっちの方がいいね」と平気で言える。すると、また血圧が15ぐらい下がるんです(笑)。

吉田 組織も星野さんも健康的になる、と(笑)。本日は、貴重なお時間をありがとうございました。

(構成/船木春仁)