星野リゾートは、顧客満足度を数値として把握するため、1994年からアンケート調査を実施している。これにより、「顧客満足」を追求しながらも同時に「利益」を出す、ビジネスモデルを稼働させるための “ポイント”が見えてきたという。引き続き、星野佳路代表にご登場いただき、両者のメカニズムについて詳しく聞いた。

星野リゾートのミッションは「リゾート運営の達人」。それを実現するため、星野代表は経営学の理論をどん欲に取り入れている。施設ごとに定量的な顧客満足度調査をし、どのアンケート項目が利益に結びついているのか、いないのかがわかってきたという(対談日:11月5日)。

顧客満足と利益のメカニズムは明確ではない

川上:星野リゾートの経営を「ビジネスモデル」に当てはめると「顧客満足と利益を両立させるために、従業員が正しく判断できるようにする仕組み」でしたよね。顧客満足と利益の関係については、どのように考えていますか。

星野:顧客満足を高めて、同時に利益を上げる。それができて初めて、私たちが掲げる「リゾート運営の達人」というビジョンが実現すると思っています。

川上:施設を利用されるお客様はもちろん、リゾートを所有しているオーナにも「運営を任せるなら星野リゾートだ」と思っていただくことが大切だということですね。

星野:そうです。ただし実際のところは、顧客満足と利益のメカニズムは明確になっていない部分もあるんです。日本の地方旅館の経営者に会うと「顧客満足を追求したら利益なんて出ませんよ」と言う人が多い。そういう場合、なかなか利益が出ないから、サービスに手を抜く方に走ってしまうことがあります。
 だから僕は聞いたんです。「どこまでサービスに手を抜くといいんでしょう?」と。その答えは「クレームが出るぎりぎりまで」でした。