週刊誌が「冬の時代」と言われている中で、放っておくと、陣地がどんどんと縮小していく。みな自分の陣地をきゅうきゅうになって守ろうとしているが、それでは面白くない。紙を維持していくのも大事でしょうが、新しい荒野を切り開いて陣地を拡大していく戦いを仕掛けたい。主戦場がデジタルになるならば、紙に体力のあるうちにやらないといけないと思っていました。やはり攻める戦いの方が部員の士気も上がりますしね。

最も遠い組織と組んで
7000人の若い読者を獲得

──「週刊文春」のデジタル展開についても言及があります。ブログとメールマガジンを組み合わせたブロマガ「週刊文春デジタル」の立ち上げや、読者の情報提供をオンラインで集める「文春リークス」、そしてLINEとの提携などデジタル化を急速に進めました。

 私が編集長になった段階で、デジタル展開は不可避であると思っていました。ならば、嫌々引きずり込まれるのではなく、主導的にデジタルに切り込んでいきたいと。その際、誰がキーマンなのか、どこと組めば面白いことができるのかとずっと考えてきたのです。

 常に頭にあったのは、「なるべく文春と遠い組織と組む」ということです。われわれと対極の組織と組む方が相互補完的なメリットが大きいからです。ただし、根っこの部分の感性で相通じることが必要だと。

 そんなときに、スタジオジブリの鈴木敏夫さんと会う機会があって、ドワンゴ会長の川上量生さんを紹介してもらいました。彼も逆張りですよね。常識のうそにとらわれないところがあり、自分なりに物事を面白がる尺度を持っている方だと思っていました。会ってみてやはり面白い方だったので、一緒に組みたいと。それにはまず連載をやろうと思って、ドワンゴの本社で「どうですか」と打診したのです。

 驚いたのは、私が編集部に帰ってきたら、すでに川上さんから原稿が届いていて、「こんな感じでよろしいでしょうか」と。やはりこのスピード感と熱量がインターネットのビジネスには大事だよなと実感しました。そこから連載担当のデスクを付けて、彼をデジタル担当にして、何かにつけて相談に乗ってもらいました。