森友学園問題で国会は持ちきりだ。マスコミも、連日テレビのワイドショーでこの問題を取り上げている。森友学園の理事長のキャラが立っているので視聴率が取れるのだろう。国会の野党質問もテレビのワイドショーの流れに乗っている。
弱みを握られることはしない
首相の「政治関与」の公算は薄い
そのパターンは、(1)安倍首相夫人が問題の小学校の名誉校長であった。(2)森友学園は右傾化している教育をしている。(3)近畿財務局(財務省の地方機関)は安価で国有地を売却した。これらを同時に見せることで、安倍首相の関与があったかのようにイメージ操作している。
この問題については、(1)政治関与、(2)森友学園の教育方針、(3)国有地の低価での売却、の三つに分けて整理する必要がある。
(1)政治関与については、まず、朝日新聞が、国有地を近隣地より安く売却しているがその相手先の名誉校長には安倍首相夫人がなっており、安倍首相の関与の疑惑があるというトーンで報じた。一部のマスコミは確たる証拠のないまま、安倍首相の政治関与で突っ走った。
ところが、安倍首相は政治関与を否定し、もしあれば「首相を辞める」とまで明言した。ちょっと考えてみれば、安倍首相が政治関与してまで財務省に弱みを握られるはずがないとわかりそうなものである。財務省は消費増税をしない安倍政権を内心よく思っていない。もし安倍首相が財務省に頼んでいたら、今頃は財務省からリークされて、安倍政権が崩壊していたはずだ。記者にはこうした政治常識はないらしい。
今のところ鴻池祥肇・元防災担当相の地元秘書らが用地取得交渉に関わっており、いわば「鴻池案件」である。頻繁に財務局と接触があったようで、これほど頻繁になると、国会議員レベルで他の人が関与している可能性は低いと考えるのが妥当だ。となると、昭恵夫人が森友学園の名誉校長になっていたのは脇が甘かったが、安倍首相が公言しているようにこの問題に首相が関与していない公算はほぼ確実といえよう。
ここの「政治関与」のところで、めぼしいネタが出てこないと、森友学園問題はメディアが伝えているほどのことにはならず、かなりシャビーになる。今のテレビの盛り上がりはそのうち消えていくだろう。