「400万台クラブ」から
「1000万台クラブ」へ

「1000万台クラブ」。かつて1990年代末の世界自動車大再編では「400万台クラブ」と言われた。当時、自動車が生き残れるかどうかは、年間400万台規模の生産台数の確保が分かれ目であるというものだった。いまや世界の自動車の大転換を乗り切るには、市場拡大で年間1000万台規模に押し上げてきている。

 それでも、中堅クラスの自動車各社の生き残りへの動きも加速している。世界販売台数第10位を確保しているスズキが、トヨタグループ入りを決断したのもその典型である。

 また、今回のPSAの動きは様々な思惑が見えてくる。プジョー・シトロエンと言えば仏ではルノーの宿命的なライバルである。過去、しのぎを削ってきた歴史があるが、ルノーが日産を傘下に置き、ルノー日産連合として国際アライアンスを成功させたのに対し、PSAはリーマンショックや欧州債務危機による業績不振が続き、苦況に陥っていた。

 しかし、欧州市場の回復トレンドとともにPSA再建の動きも進んできた。とくに2014年、ルノーでゴーンCEOの後継者と目されてきたカルロス・タバレス氏が、同社COOを更迭されてライバル社のPSAのCEOに就任したことが注目された。CEO就任とともに、中国の東風汽車がPSAに14.1%出資し、仏政府・プジョー家と同じ水準の筆頭株主となった。当時、この契約調印に習近平中国国家主席とオランド仏大統領が立ち会ったことも注目を集めた。

 タバレスPSA体制としては、因縁のルノーへの対抗もあるようだが、オペル・ボグスホールを買収したことに伴い、オペルの早期再建に向けてグループブランドを強化し、欧州市場でVWに次ぐ2位を奪取した。世界販売台数はホンダやFCAに匹敵する400万台規模となり、世界7位を競うことになる。またPSAは、オペルに続いてマレーシアのプロトン買収協議を進めるなど意欲的だ。

 PSAは、かつて三菱自動車との資本提携が決まりかけたこともあったが、ゴーン日産が結局、三菱自を傘下に置いた因縁がある。また、ゴーン氏は2004年にタバレス氏を日産へ呼び込んで片腕とし、その後ルノーのCOOに就任させた経緯がある。ゴーン後継から一転してルノーを更迭されたタバレスPSAが逆襲したとも受け止められる。

 いずれにしても日本での三菱自動車やスズキの位置づけの変化と米クライスラーを買収し傘下に置いたフィアット(FCA)やPSAなど欧州勢の今後の動きに注視したい。さらには、中国自動車企業の海外ブランドへの出資(ボルボカーなど)への積極展開も目が離せない。