ガス自由化を控える
東京ガスは健闘した

 そして、もうひとつ、消費者が切り替えを躊躇する大きな理由が、多くの小売事業者がプランとして打ち出している「セット販売」の煩わしさだという。

 たとえば電力会社を東京電力から東京ガスに切り替えることで、電気料金もガス料金も一括して払えるようになるものの、一度セット販売のプランにしてしまうと、次に切り替えをするのは携帯のキャリアを変える以上に面倒なことは容易に想像できる。つまり、電力自由化は、実は不自由化でもあるのだ。

 直近のデータでの切り替え率は全世帯で4.7%。しかも、そのほとんどは東電の管轄内と人口の多い関西方面だという現状。電力自由化で一体、誰が得をしたのだろうか?

「東電管轄内での切り替えが多いのは、東京ガスの健闘もあるでしょう。この4月にはガスの自由化も決まっていますから、東京ガスにしてみれば、東電に取られるくらいなら顧客を囲っておきたい。顧客を競合他社に奪われないための足かせが電気(をセットで売ること)なんです」(同)

 もちろん今後、徐々に切り替える人が増えていくことも考えられるが、現時点では消費者に完全に浸透したとは言いがたい電力自由化。その最大の理由は、「消費者の興味を湧かせるものではないから」と石川氏が言うように、人間の本能(性欲と金銭欲)を刺激しない電力の自由化など、大半の消費者にとって、どうでもいいことなのかもしれない。