「個人金融資産が増えたと喜んでいる場合ではないんです。金融機関は国債を買っているわけですから、実は国の借金が増えている。そして、国債発行によって手に入れたお金を国はどう使っているのか。国民の多くが非効率だと心配している国の予算執行に使われているということです」
極論をすれば、預貯金をするというのは、自分たちが日々、お金の使い方は大丈夫かと心配をしている国、つまりは「政治家」や「官僚」にお金を貸している、ということだ。
日本は戦後の奇跡の経済成長を終えた頃から、完全にお金の使い方に失敗してきた、と松本さんは言う。なぜなら、国自体が成長できていないのだから。この20年の世界各国の経済成長を調べてみると、日本のGDP成長率は際立って低い。
20年間、日本は最もへたくそなお金の使い方しかしてこなかったのだ。だから経済効果を生み出せず、成長ができなかった。そのへたくそなお金の使い方しかできない「政治家」や「官僚」に、今なおせっせとお金を貸しているのが日本の国民、という構図が日本の現状なのである。日本人が預貯金をするというのは、ダメな人にお金を貸し続けている、とも言えるのである。
松本さんは言う。
「政府が借金を背負った、といっても、実は政府そのものになんとかできるわけではありません。政府というものは、単なる機能でしかないからです。実際には、すべての借金は国民が背負っているということです。国などというものは、何か形があるわけではない。最後のリスクテーカーは国民しかいないんです。お金というのは、最終的には個人がリスクを背負うしかないんです。国民がすべてのツケを背負わされる。国というのは、そういうものなんです」
そのことを、国民は自覚しておかなければいけないということだ。