世間が大型連休に沸いている間に
世界経済には暗雲が垂れ込め始めた
わが国で起きた未曽有の大震災と大型連休の間、世界では色々なことが起きた。たとえば5月初旬、米国での大規模テロ事件の首謀者とされる、オサマ・ビンラディンが米軍によって殺害された。
金融市場はこのニュースをとりあえず好意的に受け止めたものの、中東地域の地政学的リスクが軽減されたわけではない。
世界経済の様相には、やや黒い雲がかかり始めている。米国では住宅価格の下落傾向や労働市場の回復の遅れなど、経済のストック面での懸念は完全に払拭されていない。
また、米国の1-3月期のGDPは前期対比1.8%増と、昨年10-12月期の3.1%から大きく減速した。4月下旬のFOMC会議では、QE2は予定通り6月末で終了するものの、当面、現在の金融緩和策を継続することが明示された。
一方、欧州では、依然ソブリン・リスク懸念がくすぶり続けており、金融市場ではギリシャの債務再編=借金の一部減免の観測が流れている。
また、英国やドイツなどでは、主要経済指標が予想外に落ち込むケースが目につくようになっており、経済専門家の間では、「欧州経済の先行きに過度な楽観論は禁物」との見方が有力になっている。
そうした状況を反映して、株式や為替の市場では、世界的に相場の展開がやや不安定になっている。世界経済はいくつものリスクファクターを抱えており、今後の行方を注視することが必要だ。