ワナその3
物分りがよすぎて子供をカン違いさせてしまう

「本人の好きにさせる」ことは一見、子供の自主性を尊重した懐の深い態度に見えますが、それはそれで危険なワナです。

 子供は、文字通り子供。マスコミの情報や宣伝文句に対する免疫も、親以上にありません。親としては、時には「それは賛成できない」「それは間違っている」と主張する気構えも必要です。子供自身にとっても、「ウチの親は何でも自分の言いなり」とナメた見方をしてしまったら、深く考えないまま、楽そうな方向や聞こえがよさそうな方向にばかり目が向くようになってしまうでしょう。

「物分りのいい親」になるという甘い誘惑に負けず、ぶつかるところはぶつかるのが、面倒ではありますが、受験生の親の務めです。ただし、「金を出してやるのはこっちだ」と考えを押し付けようとするのは、言ってみれば最大の手抜き。百害あって一利なしと心得ましょう!

ワナその4
無自覚のまま自分自身の見栄や体面を優先してしまう

「両親とも○○大学なんだから、それ以下の大学は許さない」

「浪人なんかされたら恥ずかしくて仕方ない」

 さすがに、こんなセリフを子供に面と向かって言う親はめったにいないでしょう。しかし、自覚がないまま、自分自身の見栄や体面を優先するワナにはまっているケースもあるようです。

 無意識のうちに本音が垣間見えるようなプレッシャーのかけ方をしてしまうと、当然、子供だって親の本音に気づきます。受験生は常に全力で「自分への言い訳」を探していますから、たちまちやる気をなくしてしまうでしょう。

 親の心の中に見栄が生まれてくるのは、ある意味、仕方がないことです。それを直視して、「親の勝手な見栄」「本人には関係のない話」と自分に言い聞かせることが、知らないうちに子供に迷惑をかけてしまわない必須条件と言えます。

ワナその5
自分の価値観や人生観を「絶対」だと思い込んでしまう

 親は、自分の人生を意地でも肯定したくなるもの。

 女子大を出て一流企業のサラリーマンと結婚して専業主婦をやってきた受験生の母は、娘が同じ道を選ぼうとしないと、自分のやってきたことが否定されたように感じてしまいます。サラリーマンとして頑張ってきた父親は、息子がサラリーマン以外の道を目指そうとすると、裏切られたような気になってしまいます。

 親が自分の価値観や人生観を「絶対」だと思い込んで子供に押し付けるのは、何を隠そう自分のプライドをくすぐりたいからに他なりません。そのくせ、子供のことを真剣に心配しているような錯覚も抱けますから、まんまとワナに陥っていても、事態の深刻さや罪深さには気づかなかったりします。

 自分の考えをアドバイスするときには、「世の中にはいろんな価値観や人生観がある」「子供には子供の人生がある」という大前提に立つことが大切です。