日系企業を経て、外資系証券会社へ勤務後、お金のふやし方を学び、現在、1億円を超える年収がある著者:生形大氏が書いた『9割の日本人が知らないお金をふやす8つの習慣』。本連載では、本書の内容のダイジェストで構成したものを紹介する。
お金をふやしたい、そう思っているのであれば、まずは、外資系エリートたちの お金、時間の活かし方をまねてみるのをお勧めします。
たとえば、住宅ローンに関して、次のような意見を耳にすることがよくあります。
「貯まったお金で繰上返済すれば、総返済額が○万円減る」
「資産運用より繰上返済の方が確実でお得!」
日本人特有の手堅さを重視する考え方だと思います。 しかし、この繰上返済はお得なのでしょうか?
住宅ローンの繰上返済とは、毎月10万円などと決められている返済額とは別に、自分の好きな時に100万円などのまとまった額を返済することを言います。
繰上返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があり、期間短縮型を選べばローン返済までの年数を減らすことができ、返済額軽減型を選べば毎月の返済負担を軽くすることができます。またいずれの場合も、ローン返済終了までに支払う予定だった総返済額を削減できるメリットがあります。
そして、借入初期であればあるほど、繰上返済のメリットは大きくなります。そのため、住宅ローンを借りて間もないのに、家計を切り詰めて節約して、急いで繰上返済しようとする人がいます。 しかし、これは大変もったいないことなのです。
繰上返済を上回る
「住宅ローン減税」のメリット
なぜもったいないのかといえば、低金利で利息が少ないのに加えて、「住宅ローン減税」という、住宅ローンを借りている人にとって大変有利な制度が実施されているからです。
住宅ローン減税とは、年末時点の住宅ローン残高の1%に当たる額を節税できる仕組みです。たとえば住宅ローン残高が4000万円ある会社員なら、このうちの1%に当たる40万円が還付されます(サラリーマンの場合、1年目は確定申告をする必要があり、2年目以降は年末調整で受けられます)。
この人がもし今、500万円の繰上返済をすると、節税になる額が40万円から35万円に減ってしまい、差し引き5万円、損することになってしまいます。
もちろん500万円を繰上返済することで、返済額に占める支払利子は減ります。住宅ローンの金利が0.8%だったとして、残高4000万円に対する毎年の利子は約32万円。一方、繰上返済後の残高3500万円に対するその年の利子は約28万円。4万円の削減です。