「何とかご協力をお願いします」
幸一が、改めて中国側へ懇願する。
「原材料在庫はどれだけあるんだ?」
清義が副総経理に問う。
「丸太で2000リューベー、板で3000リューベーといったところです」
「それで出来る商品はどれくらいだ?」
「そうですね、丸太から板の歩留りを5割、板から製品の歩留りを5割としますと、全部で2000リューベーくらいは出来ることになります」
「月500として、4ヶ月分か……。いいでしょう、山中さん。岩本社長にもお伝えください、おっしゃる通り、現有在庫で対応できる、向こう4ヶ月は現状維持でやりましょう」
清義が恩着せがましく宣言するが、幸一はなおも喰い下がる。
「半年間、あと6ヶ月続けていただけませんか?」
清義が脇の総経理へ視線を送ると、彼は両手を広げて無理だと応じた。
「君の指摘を受け入れて、4ヶ月の延長を譲歩した。それが精一杯だということは、君自身が判っていることでは……」
清義が、子供を諭すように努めて柔らかい口調で話し始めたが、そこへ新たな煙草に火を点けた隆嗣が、話を遮って口を開いた。
(つづく)