「割引率」と「要求収益率」は表裏一体

 このように、将来価値を現在価値に換算するときに使う利率を割引率といいます。

 反対に、現在価値から将来価値を求めるときの利率は、期待(要求)収益率という言い方をします。ここが、混乱しやすい点ですが、将来価値と現在価値を換算する利率の表現の仕方が違うだけで、期待(要求)収益率と割引率は、まさに表裏一体の関係になっています。

 期待収益率と要求収益率とは同じものですが、ここでは、要求収益率に統一いたします。なぜなら、その方が割引率の本質がお伝えしやすいからです。

 この将来価値現在価値割引率はファイナンスで、もっとも重要な概念です。

 いや、むしろこれが理解できなければ、ファイナンスは先に進まないともいえるものです。

 もう一度、三者の関係を復習しておきましょう。

 現在価値に(1+要求収益率)をかけると、将来価値になります。

 将来価値を(1+割引率)で割ると、現在価値が求められます。

 もちろん、ここでは、要求収益率=割引率です。

 5年先のお金を現在価値に割り引くという話になると、(1+割引率)が(1+割引率)5に変わることに注意してください。

 現在価値を求める計算式は、以下の図表のようになります。