これまで幾度となく議論されてきた、ネット上のコンテンツ課金。すでに大手メディアも有料コンテンツを配信する流れが出てきているが、まだまだ一般ユーザーに浸透しているとは言い難い。そんななか、ベンチャー企業が開発した「Grow!」やNECビッグローブの「ポチ」など、無料コンテンツを楽しんだ後にユーザーが気に入れば「投げ銭」できるというサービスが立ち上がり、注目を集めている。「リスペクト」や「感謝」の意をクリエイターに対して表明する「投げ銭」方式の新サービスに、収益化に課題が多いと言われていたネット産業は光明を見出すことができるのだろうか?(取材・文/プレスラボ・宮崎智之)
ユーザーの心理的ハードルが高いなか
コンテンツ課金の新たな可能性が登場?
もともと「無料」を前提としてきたネット上のコンテンツ。大手メディアが手がけるニュースサイトでも広告収入を基本としており、ユーザーから対価を得るB to Cモデルを採用しているケースは少ない。もちろん、日本でも日本経済新聞の電子版を筆頭に有料化の流れもあるが、専門性が低い一般紙まで浸透するかは未知数だ。
また、ニコニコ動画や一部のSNSでは、無料会員に加えて有料会員制度を導入しているものの、個人が運営しているサイトでは人気のあるコンテンツでも収益化は難しい現状がある。
最近では、スマートフォンやiPadのようなタブレット型コンピュータなどから有料コンテンツを購入するスタイルが定着し始めたが、ユーザーにとってネット上で課金されることの心理的なハードルは、いまだに高い。