この際に採るべき視点は、会社の中の評価ではなく、同業ないし同職種で転職する場合の自分の人材価値がどう変化するかだ。ヘッドハンターにでもなったつもりで、自分の履歴書・職務経歴書を想像しながら評価してみてほしい。

 例えば、読者が国際企業の営業職だとすると、先進国の大都市や扱う商品の主たる市場がある場所への異動なら「+2」だろうし、今ひとつ一流の赴任地ではないが海外経験が積めるなら「+1」くらいだろう。海外赴任に気が進まない理由があったとしても、少々気を取り直す方がいいかもしれない。

 逆のケースとして、仮に、読者がディーラーやファンドマネージャーのようなマーケットに関わる専門職だとしよう。調査やリスク管理のような市場取引業務の周辺への異動なら「-1」くらい、地方の支店に異動したり、人事部のようなマーケットから全く離れる部署に異動したりする場合は「-2」と採点していいだろう。営業職の場合は顧客から、マーケット専門職の場合はマーケットから、調査・研究職の場合は研究から、2年も離れるなら、人材価値は相当に落ちるのが現実だ。こうした場合、専門職としての人材価値を守ることを取るか、会社に従うことを取るかを、真剣かつ早急に考える必要がある。

 次に、「嫌だ」という気持ちに再び向き合ってみて、「どちらかといえば嫌だ」なら「-1」、「ものすごく嫌だ」なら「-2」としよう。なお、厳密には、「(どちらかといえば)うれしい」も評価すべきで、人材価値への影響と合わせて考えるべきかもしれないのだが、本人がうれしいのなら、あれこれ言うのは野暮だから、本稿ではやめておく。

 合計点を計算してみて、「-4」なら「全力で転職活動!」、「-3」なら「転職活動を始めて行き先が見つかったらなるべく転職」、「-2」なら「緩やかな転職活動を開始」というくらいが、基本的な活動指針だろう。

 調整項目を1つ入れておこう。読者の年齢が45歳以上なら「+1」、28歳未満なら「-1」を先のスコアに加えよう。45歳を超えていたら、転職することの価値がやや下がるので「+1」、27才未満なら新しい職種の選択につながるような転職も可能であり我慢の価値が相対的に下がるので「-1」として評価してみようというのが、この調整の意図だ。

 もう一つ、異動の撤回可能性を評価してみよう。「問題なく撤回可能」(多分稀だと思うが、撤回してもらえばいい)、あるいは「確実に不可能」(多くの会社はこれだろう。交渉するだけ無駄だ)の場合は悩む必要はないが、「交渉してみると撤回できるかもしれない」というケースにダメモトで交渉してみる場合、「-1」だけ点数を調整しよう。異動に不満を述べて会社に残った場合の社内評価の低下を反映する目的の調整だ。