TOOTは、日本製の丁寧な縫製と細部まで工夫したものづくりで、ファッション感度の高い男性を中心にファンを広げてきた。日向市内に直営工場を有し、2000年から全商品を一貫生産。現在は、需要の伸びに生産が追いつかないほど人気を博している。

日向市内の住宅街にあるTOOTの直営工場。職人たちの高い縫製技術が、ハイクオリティなTOOTのものづくりを支えている Photo by H.H

 日向市とコラボした背景について、枡野社長は「17年間男性下着にこだわり、日向市で一貫生産してきましたが、地元での認知度が低いことを痛感しました。世界で知られるブランドだと自信を持っていたのですが、地元ではあまり知られておらず、求人募集をしてもなかなか人が集まらなかったのです。TOOTの工場スタッフも日向市でものづくりをしていることに誇りを持っています。だから、地元の人にもっと知ってほしかったことに加え、日向市に恩返しをしたいと考えました」と語る。

 これに対して十屋市長は、「正直、これほど有名なブランドを作っている工場とは知りませんでしたが、表敬訪問のときに相談を受け、コラボの話を持ちかけました。社員にとっても、自分が働いている会社が世界的に有名なブランドだと実感すれば意欲が増すし、人も集まりやすくなる。これからは自治体も情報発信し、PRしていかないといけない時代です。地方創生のツールとして互いに連携していきたいと思っています」と応じた。

日向の自然に魅せられ
サーフィンに挑戦

 日本製のメンズパンツ一筋に独自の戦略で成長してきた同社だが、2015年4月に社長に就任した枡野氏も極めてユニークな人物だ。

2015年4月に同社代表取締役に就任した枡野恵也社長。風貌のみならず、ユニークな経営戦略でも業界内外で注目を集めている Photp by H.H

 詳しくは、シリーズの3回目にとっておくが、写真で見ての通り、サルバドール・ダリのようなカイゼル髭がトレードマーク。今どき、お笑い芸人にしか見かけないような風貌で、国内外を飛び回っている。市長が出席する公式な式典であっても、社長の髭は見事に跳ね上がっていた。決してふざけているわけではなく、いたって真面目なのである。

 今回、返礼品の生産というコラボをきっかけに、枡野社長はサーフィンを始めるという。地元のサーフショップのオーナーやプロサーファーと知り合ったのがきっかけだ。日向市の工場を訪れたときには、おいしいご飯と酒を求めて駅前の飲屋街に必ず足を運ぶという枡野社長だが、日向市の自然に魅せられての挑戦だという。多忙でなまりきった体を少し絞りたいとの思いもあるようだ。

 TOOTのものづくりを支える工場と従業員、地域との絆がさらに強まった今回のコラボ企画。「地方創生とアパレル再生を訴求していきたい」という枡野社長の言葉に、新たな決意が込もっていた。

 日本製のメンズアンダーウェアメーカーとして世界ブランドを目指すTOOT。次回(4月19日(水)公開予定)は、多くの男性たちに支持される人気の秘密を、ものづくりの現場とデザイナーへのインタビューから探ります。

(フリーライター 橋長初代)