「平和の党」を標榜する公明党は安保法制の協議において、様々な論点で厳しい指摘を繰り返し、「前のめり」自民党の「歯止め役」を徹底的に務めた。そして、自民党が提示した、自衛隊の活動範囲を際限なく拡大したいという思いが露骨に出て粗っぽすぎた案を、現実的な具体策に練り上げる役割を果たしていた(2015.4.16付)。

「テロ等準備罪新設法案」においても、与党協議の内容は見えないものの、公明党の役割は同じだったといえるだろう。公明党は「歯止め」を自認しながら、3度も廃案になってきた「共謀罪」を、何でもかんでも処罰対象にしたがる自民党の案から、テロ対策に必要ないものをできるだけ削り、より現実的で国民の理解を少しでも得られる「組織犯罪処罰法改正案」に練り上げることに、少なくとも一定の役割は果たしたと評価すべきである。

審議入り後の公明党な何もできない
野党は安保法制と同じ戦略なら失敗する

 そして、「テロ等準備罪新設法案」が衆議院で審議入りした。法案の修正により国会提出に貢献した公明党だが、党内からは、7月の東京都議選への影響を回避するため、今国会成立の見送りを求める声が出ており、会期内の早期成立を目指す自民党とは温度差がある。だが、公明党は所詮連立与党の一角である。法案の答弁を行う担当大臣は自民党だ。国会審議に入ると、公明党はよくも悪くも、何もできなくなる。むしろ問題は、野党ということになる。

 学校法人「森友学園」の問題が思いのほか長期化することで、まるで全体主義国家の学校をイメージさせるような、「教育勅語」を幼児に暗唱させる映像や、その教育勅語の内容に閣僚が次々と理解を示すことに国民の多数は衝撃を受けている。安倍首相やその他の政治家と保守系団体との「不適切な関係」の有無にも高い関心が集まった(2017.3.28付)。

「テロ等準備罪新設法案」が、これら安倍政権下における一連の自民党の「右傾化」のイメージと同一線上に位置づけられるのは当然であり、国会審議では野党の激しい反対が予想される。だが、野党の国会戦略が「安保法制」と同じであるならば、野党はなにも得られず、無残な敗北を喫することになる。

 日本共産党の小池晃書記局長は、安倍政権が法案名を「共謀罪」から変えたことに対して、「本質はまったく変わらない」と厳しく批判している。そして、「違憲立法の共謀罪創設に反対する闘いは日に日に広がっている」と強調し、「共謀罪は過去3回廃案となった。その時期に比べても、いまは市民と野党の共闘が大きく発展している」として、「共謀罪法案を必ず撤回させる」と表明している。