しかし、私の持論は違います。私は、
「下位の20%を切ってはいけない」
と考えています。
なぜなら、下位の20%を辞めさせると、残り80%の社員のモチベーションが低下するからです。
上位20%のリーダーも、60%の中堅社員も、常に「下に落ちるリスク」を抱えています。
「下位20%に落ちたら、クビ切りに遭うかもしれない」となると、会社のために身を粉にして頑張ろうとは思いません。
むしろ転職すら考えるようになりかねません。
しかし、仕事の成果が挙がらなかったり、病気などのリスクに直面したときでも、「会社は必ず雇用を守ってくれる」とあらかじめ確約されていれば、「会社のために献身的に働こう」と思うはずです。
誰しもそれぞれの事情を抱えています。
ガンになる。親が要介護状態になる。子どもがぜんそくになる……。
こうした厳しい事情を背負い、もたれかかるしかなくなった下位20%の社員に対して肩たたきをしたら、まわりの社員はどう思うでしょうか?
「会社はいざというときに助けてくれないから、自分たちも会社に尽くす必要はない」
「仕事はそこそこにして、趣味や余暇に時間を使ったほうがいい」
と思うのが当然でしょう。
これでは、会社に対する忠誠心や献身は失われてしまうのです。