コーセー快進撃、営業利益で資生堂超えも見えた理由こばやし・かずとし/1962年東京都生まれ。86年慶應義塾大学法学部卒業後、コーセーに入社。95年常務取締役、2004年代表取締役副社長に就任。07年より現職。 Photo by Toshiaki Usami

6年前まで“冬の時代”にあった化粧品大手コーセーが快進撃を続けている。創業70周年の2016年度(17年3月期)決算では、売上高、営業利益、純利益で4期連続の過去最高額を見込む。V字回復に導いた小林一俊社長に要因を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 宮原啓彰)

──過去最高の業績を予想する2016年度を振り返ってください。

 創業70周年の記念イヤーということもあり、昨年3月からさまざまな試みに打って出た1年だったと思います。

 結果として、ハイプレステージ(高価格帯)から中価格帯、コスメタリー、全てのカテゴリーが好調でした。これまでも業績好調の年はあったものの、全カテゴリー、それぞれの事業ブランドが総じて好調という年はそうありません。良い形で70周年の節目を終えることができると考えています。

 中でも象徴的だったのは、やはりメイクが好調だったことです。化粧品業界は、いかに新規顧客を取り、また、いかにその人たちを固定化するかということが基本ですが、メイクでヒット商品があると、良い循環が生まれるんですよね。話題になるメイクというのはトレンドを追っ掛けていますから、そこからファンデーションやスキンケアと他にもつながる。これは当たり前のようで難しい。それができた年だったと思いますね。

──化粧品の世界において、新規客の獲得、特に長年慣れ親しんだブランドがある中高年層の女性客の開拓は容易ではありません。