日本におけるFacebookユーザーの伸びとともに、Facebookに取り組む国内企業が急増している。Twitterに続く新たな集客ツールとして、Facebookへの期待は高まる一方だ。しかし、Facebookを単なる広告宣伝の場ととらえ、従来の企業マーケティングの延長線上で行ってしまうと、逆にユーザーに嫌われることにもなりかねない。
ソーシャルメディア、そしてFacebookの登場によって集客のルールが変わりつつある。 この連載では、Facebookのビジネス活用、中でも「集客」にテーマを絞り、日々パワーアップするこの新しいメディアを使って、企業はどのように新規客を集めていけばよいかについて実例を挙げながら探っていきたい。
3.11以降の「ゴールドラッシュ」
いまや世界人口の10人に1人にあたる7億人が登録する実名制ソーシャルメディアFacebook。しかし日本では「ネットは匿名で」という文化が根強くあり、実名登録を義務づけるFacebookは大きく普及が遅れていた。 しかし、ここにきて日本のユーザーが急増している。特に3.11以降の伸びは大きく、昨年末に190万人だったユーザー数は5月末の時点で340万人、1.7倍となった(図1)。
データ:Socialbakes http://www.socialbakers.com/facebook-statistics/japan
ナショナルブランド、航空会社、自動車メーカーなどを筆頭とし、国内企業も続々とFacebookに参入している。日本語によるビジネス用ページ「Facebookページ」の数は2万を超し、 広告代理店やウェブ制作会社などが次々と企業のFacebook導入支援に名乗りを上げ、毎週のようにどこかでFacebookセミナーが開催されている。いま日本の一部で、Facebookをめぐりちょっとしたゴールドラッシュのような現象が起きているのだ。
一方で、こんな声も聞こえてくる。「遅れをとるまいとFacebookを始めたが、何を書いたらいいのかわからない」「思ったほどファン(登録者)が集まらない」「そもそもこれはビジネスに役立つのか疑問を感じる」etc…
疑問を感じるのは当然だ。なぜならFacebookはもともとビジネス利用のために生まれたものではない。交流サイトなのだ。ユーザーの目的はあくまで人との交流、そして日常を面白くしてくれる刺激や、有益な情報を得ることなのである。ショッピングサイトのユーザーのように、買い物をしようという目的で来ている「お客さん」ではないのだ。