Facebookがビジネス活用しにくい3つの理由
Facebookはうまく活用すれば大きなパワーを発揮するツールだ。しかし一方で、「取り扱い注意」の側面もある。Facebookのビジネス利用を始める際に留意しておきたい点は3つある。
* セールスをすると嫌われる
Facebookは「売り込み」「セールス」を極端に嫌うメディアだ。一度、運営するFacebookページに、私が講師を務めるセミナー(有料)の案内を投稿したところ、1日で10人のファンが減った。こちらはそのつもりはなかったのだが、どうも「売り込み」と思われたらしい。
これは決して極端な例ではなく、セールスの投稿をすると通常の投稿より反応はかなり鈍くなり、ファンが減る。
さらに、セミナーなどに集客に便利な「イベント機能(友達に招待メールが送られる集客機能)」があるが、これを乱用すると、スパム扱いされることもある。
* ファンがなかなか増えない
Facebookページを訪問したユーザーが、気に入ってそのページの情報を継続的に受け取りたい場合、ページ上部にある「いいね!」ボタンを押してファンになる。ファンの数は人気、そしてブランドを表す1つの要素だ。
ところが「Facebookページを作ったもののファンがなかなか増えない」という悩みを持つ企業は意外なほど多い。誰もが知っている有名企業ですら、ファン獲得に苦戦をしているのである。
図2を見ていただきたい。これは、国内Facebookページのファン分布図である。1000人以上のファンを獲得できているページは、全体の4%に過ぎない。つまり96%のページが1000人未満という、いわゆるロングテールのグラフになっている。
正確に言えばロングテールの変形で、ちょうど恐竜の頭のようにトップの数が多い。これは、1万人以上のページは、日本だけでなく海外でファンを獲得しているケースが多いためである。
つまり、ページの内容やFacebook広告の出稿先をユーザー数のケタが違う海外向けにするとファンは増やしやすいが、日本国内向けのページは、ファンを1000人獲得するのも難しいということが言えるだろう。
ファンが増えにくい理由の1つには、数を作るための奥の手である「相互○○」が通用しないということがある。たとえばTwitterには「相互フォロー」というものが存在する。こちらから1000人フォローすると、そのうち400人ぐらいは「フォロー返し」をしてくれるというものだ。極端な話、フォロワーを4000人にしたかったら、1万人フォローしていけばよい、という単純計算が成り立つ世界なのだ。
しかしFacebookでは「相互」の概念が存在しない。あくまでそのページに魅力があるかどうか。魅力があればファンになるし、魅力がなければファンにならない。ファンを増やすために必要なのは、機械的にフォローをするという肉体労働的な努力ではなく「魅力を磨く」という知恵を使った努力なのである。
* 継続しなければならない
一度ファンになってもらったからと言って安心はできない。継続的に投稿し、ファンから「いいね!」(各投稿についている反応用ツール)やコメントなどの反応をもらわないと、Facebookのアルゴリズムによりファンの「ニュースフィード」に表示されないのである。
ニュースフィードに表示されないと、ファンはあなたの投稿に気づかない。そしてそのうち忘れられてしまことだってあるのだ。
つまり、投稿がつまらなかったり、間が空いてしまうと、ファンにとってあなたのページは存在しないのと同じになってしまうのである。
ここまで読んで、Facebookはずいぶん難しいと感じた方もいるかもしれない。特に、これまでSEO対策など従来のインターネットマーケティング手法に慣れている人の中には、何をどうしたらいいのかわからないという人もいるだろう。しかし、よく見ていくとFacebookによる集客の考え方は非常に単純なものなのだ。
従来型の集客が「メガホン」だとすると、Facebookを使った集客は「磁石」だ。つまり、こちらから売り込みをするのではなく、お客さんのほうから「お願いします」と言ってくるようにする。逆説的だが「売らずに売る」仕組みを作ることが成功の秘訣と言えるだろう。